【ホスピタルショウ】Android端末対応電子カルテ・システムの導入でコスト削減と業務効率改善を実現、宮崎大学病院

 2011年7月13〜15日に東京ビッグサイトで開催された「国際モダンホスピタルショウ2011」の出展者プレゼンテーションセミナーにおいて、「医療現場におけるスマートフォンの活用」と題し、宮崎大学 医学部附属病院 医療情報部 教授の荒木賢二氏が講演した。現在、iPadやiPhoneを病院で活用する事例は多く出始めているが、同病院では2011年5月からAndroid端末(スマートフォン)を利用した電子カルテ・システムを本格導入している。荒木氏は講演で、従来導入していたシステムに対する今回のシステムのコスト削減や業務効率改善の効果などについて語った。

GALAXY Sを250台導入

新システムを開発した背景を示した説明資料

 宮崎大学病院が2011年5月に本格導入したのは、自ら開発した「Watatumi(ワタツミ)」と呼ぶシステムである。Android端末を利用して、主に看護士が病棟などにおいて、患者の観察所見の入力や注射/輸血の受領・実施状況の入力、指示簿の確認などを行うものである。利用するAndroid端末は「GALAXY S」で、250台導入した。

 それまで宮崎大学病院で導入していたシステムは、NECインフロンティアのPDA「Pocket@i EX」を利用したものだった。しかし、携帯性が悪いことや高価であることなどを理由に、2009年ごろから新たなシステムの開発を検討していた。そこで荒木氏が着目したのが、Androidだったという。「開発の自由度が高く、院内サーバーから資源の配布や管理が可能である」(同氏)ことや、端末のバリエーションが豊富であり予算に合わせて選択できることが魅力だったとする。

 荒木氏は、2010年7月に開催された「ワイヤレスジャパン」において、「Android端末の普及を確信した」(同氏)ことから、同年9月にはAndroidを前提としたシステムの設計に着手したという。そして、2011年5月の本格稼働にこぎ着けた。

「スマホによって電子カルテは知識構築のツールへ」

 新たなシステムを導入したメリットは大きく二つあるという。一つはコスト削減、もう一つは業務効率の改善である。まずコストについては、「大量に生産されているAndroidスマートフォンを使うことで、大幅な削減効果があった」(荒木氏)とする。具体的には、今回導入したGALAXY Sの1台当りの実購入価格は6万1000円であり、250台購入したことから端末費用は計1525万円だった。これに対して、仮に従来のPDAを250台分更新した場合には、1台当たり19万6121円で、計4903万250円になるとした。「GALAXY Sを追加で300台購入しても、まだお釣りが出る」(同氏)ほどのコスト削減を図ることができたとする。

新システムに現在実装されている機能を示した資料

 一方、業務効率改善については、その効果を調べるために、従来のシステムとの並行運用時に調査を実施したとする。具体的には、次の三つの作業に要する時間を調べた。すなわち、バーコードによる患者認証、観察項目入力、注射実施入力、である。その結果、すべての作業においてAndroid端末の方が短時間で済ませることができたという(項目によって0.3〜3.6秒の短縮)。

 さらに、今後想定されるメリットとして、スマートフォンの固有機能を活用することで、例えば、医師の診療支援システムなどへの発展も期待できるとした。実際、2011年9月には放射線画像を参照できる機能を追加する予定で、2012年3月にはコミュニケーション機能など複数の機能を加える計画であることを示した。

 講演の最後に荒木氏は、「電子カルテはスマートフォンによって知識構築のツールになる」と指摘した。いつでもどこでも利用できるスマートフォンによって、患者の最新データを常にチェックするようになる他、その場で何でも調べる習慣が身に付くとする。さらに、ちょっとしたことでも病院職員間で情報交換をしたり、つぶやいたりすることが多くなると見る。これにより、「知識が循環し、新たに構築される」(同氏)という効果が生まれるとした。

(小谷 卓也=デジタルヘルスOnline

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