【医療情報学会】東日本大震災で医療情報・ITはどうなったか?:東北大学病院

第15回日本医療情報学会春季学術大会が千葉・幕張で開催

 第15回医療情報学会春期学術学会(テーマ:情報が医療の姿を変える〜共有と連携、統合と活用〜、主催:一般社団法人 日本医療情報学会)が、6月17日、18日の2日間にわたって、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された。東日本大震災からわずか3か月後の開催ということもあって、特別企画「東日本大震災と医療情報」と題した震災関係の企画が実施された。

病院内の電源の種類について説明する東北大学病院メディカルITセンターの國井重男氏

 東北大学病院メディカルITセンターの國井重男氏は、実際に被災を体験した様子を、写真や図を多数用いて詳細に語った。「震災後に災害対策本部を設けて、『宮城の医療はわれわれが守る、前線(被災地の医療施設)を疲弊させない』ことを目標にがんばってきた」(國井氏)。同大学病院も震災で大きな被害を受け、一部の建物の利用ができなくなったのに加えて、電気やガスの供給が一時停止した結果、業務に大きな支障が出て、緊急対応を迫られたという。

 例えば、手術中の患者について。空調が停止してほこりが舞ったこと、壁に亀裂が入ったことなどから、食道手術中の患者と婦人科の患者はそのまま閉腹、脳外科では腫瘍の3分の2を摘出した段階で閉頭する、などの対応をした。さらには、交通が麻痺したために、臨時避難場所として見舞客や来院中の患者、周辺の住民などを一時的に収容する対応をとった。「炊飯器を持ち込んで非常用電源でご飯を炊いている人もいたが、緊急時ということで黙認した」(國井氏)などということもあったという。

 IT関係は、停電によって大きな影響を受けた。電気については「震災直後は、平常時の30%程度の給電能力まで落ちた」(國井氏)。同大学では、一般の商用電源、震災後5分〜10分後から利用できる非常用電源、無停電の保安用電源の3種類の電源を用意していたが、サーバールームで本来止まってはならない空調が停止した。「非常にショックを受けた」と國井氏は振り返る。

講演中に、大震災時の県内の様子が映し出された

 原因は、空調機器そのものにはなく、空調機器をリモートでコントロールするネットワーク機器が商用電源につながっており、電気の供給が止まって稼働を停止したためだった。当初は原因が不明だったので対策が取れず、最高34度まで室内温度が上昇したため、震災後2時間でサーバーをすべて停止せざるを得なかった。サーバー室の空調機器を点検モードに切り替えた結果、空調が稼働を再開したため、深夜1時くらいからサーバーの再立ち上げを開始したという。なお同病院では電子カルテシステムは導入していないが、部門サーバーやPACS、診療支援システムなどを利用している。

 國井氏は最後に、災害時に有効な対策として(1)サーバー室は免震構造にして空調・ネットワーク機器も含めて非常用電源を確保する、(2)現地以外でデータのバックアップ先を確保する、(3)端末に転倒・落下防止策を施す、の3点を挙げて講演を締めくくった。

(本間 康裕=医療とIT/デジタルヘルスOnline

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