【国際モダンホスピタルショウ2010】コンティニュア対応の製品が続々登場。健康管理機器との相互運用性向上を目指す

 健康管理機器や医療機器とシステムの相互連携・運用を実現する標準規格コンティニュア。その設計ガイドラインに準拠した血圧計や体重計などのデバイスが登場したのに続いて、アプリケーション側の対応が進みつつある。ホスピタルショウでも、数々の対応ソリューションが新たにお目見えした。実際に製品対応したものやプロトタイプを含め、今回のホスピタルショウで披露されたソリューションをピックアップしてみた。

●医療・介護分野、健康管理分野に製品・サービス対応が拡大

富士通のHOPE/WINCARE-ESでは、当面施設系サービスでのバイタルデータ管理に利用する予定という

 コンティニュアの趣旨は、主に個人が利用する健康管理機器と、これらを活用したシステムやサービスの相互連携で、パーソナルヘルスケアの進展やQOL(Quality Of Life:生活の質)向上を目指すもの。今回、ホスピタルショウで出展された対応製品を見ると、医療・介護分野で本格的に広がりを見せつつあることがわかる。具体的には、健診システムや介護システム、遠隔健康相談サービスなどの分野で、体重計や血圧計と連携してデータ管理を行おうという傾向がはっきりと伺えた。

 健診システムでコンティニュアに対応したのが、タック(本社岐阜県大垣市)の「タック総合健診システム」。同健診システムの特徴は、結果データより保健指導レベルの階層化とメタボリック判定、厚生労働省指定の標準的なXMLのデータ出力、特定健診結果を時系列グラフやレーダーチャート、帯グラフとしてわかりやすく表示・確認するソフトが標準装備されているなど、特定健康診査機能が充実していることだ。

 コンティニュア対応したことにより、健診者のICカードまたはQRコード受診券を読み取り、コンティニュア対応血圧計、体重計で測定すると、データは即座にシステムに反映される。「コンティニュアの標準規格によって、デバイスメーカーの仕様に基づいた個別インタフェースの開発が不要になり、ユーザー企業の導入コスト削減が可能になります。現在コンティニュア対応機器は家庭向け製品が多いので、医療用測定機器が増えることを期待しています」(タック ヘルスケアシステム事業本部PKGソリューション営業グループグループマネージャー 山田健之氏)と述べる。

ワイズマンは、将来的に介護ソフトのケア記録での利用を見据えて、データ取り込みのためのWebアプリケーションを参考出品した

 富士通は、7月23日に発売を開始する介護事業者支援システムの新製品「HOPE/WINCARE-ES」をコンティニュアに対応させた。同システムは、介護サービス単位に分散していた利用者に対する様々な介護記録や介護スタッフの所見などの情報を統合して参照することができる「統合ビューア」を搭載している。さらに同社の中堅病院向け電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-NX」の診療画面から、ワンクリックで介護記録を参照する機能を追加した。

 コンティニュア規格に対応したことにより、同規格に準拠した血圧計や体重計で測定したデータは、同システムの温度板に自動的に記録される。「コンティニュア対応は試行錯誤の段階で、現在は利用者認証の仕組みは組み込んでいません。当面は施設サービス系システムとして、各部屋を巡回する際にカートに搭載したノートPCなどで測定データを取り込むような使い方を想定しています。今後、どのような利用の仕方が利便性を高められるか検討しながら、利用者認証の仕組み等も実装していくことになります」(富士通 ヘルスケアソリューション事業本部パートナーシステム事業部第一システム部 高野睦明氏)という。

 ワイズマンもコンティニュア対応のプロトタイプを展示した。今回の出展は、コンティニュア対応の血圧計と体重計で測定したデータを、Bluetooth通信でタブレット型モバイルPC「タフブックCF-H1」(パナソニック製)に送信し、測定データを表示確認できるWebアプリケーション(プロトタイプ)。将来は、Webアプリケーションから無線LANやワイヤレスWAN通信などで「ワイズマンASPサービス」を介して、各種介護ソフトのケア記録に測定データを転送できるようにする。「今後は利用者と測定データをひも付ける仕組みをWebアプリケーションに実装し、施設や在宅利用者のケア記録支援につなげていきます」(ワイズマン 第一営業本部福祉営業企画部販売促進企画課課長 星野裕一氏)。

●ビデオ会議システム利用で遠隔健康相談を実現、コンティニュア対応PCも登場

シスコシステムズは、Cisco HealthPresenceの血圧計データ連携においてコンティニュア規格に対応。測定した血圧データを保健師と共有しながらビデオ会議で相談するデモを実施した

 テレビ電話を利用して遠隔保健指導や栄養指導を実現する健康管理コミュニケーションプラットフォーム「メディックケアステーション」を展示したのが、KDDI研究所。メディックケアステーションのバイタルデータ管理機能を、コンティニュアに対応させて展示した。利用者宅や集会場などに設置したタッチパネル式液晶一体型専用端末と保健機関などの保健師が使うPCの間で、テレビ電話機能を用いての医療相談や保健指導などが可能。東京・奥多摩町で実施した遠隔予防医療相談事業で、住民の健康意識の向上(行動変容の実現)、住民の健康増進(医療健康データの改善)などの成果を得たという。

 この専用端末には、体重計や血圧計、体脂肪測定器などと接続するインタフェースが付属している。日々の測定データを蓄積・管理・閲覧できるのはもちろん、利用者の測定データを保健師が利用者に見せながらアドバイスできる。

 従来はバイタル測定器との接続にインタフェース開発が必要だったが、コンティニュア対応にしたことにより不要になった。「奥多摩町では、集会場など9カ所に体重計と血圧計を有線接続した専用端末を設置しました。設置環境がぞれぞれ異なるため、機器の実装が難しいという問題がありました。コンティニュア対応機器なら環境に左右されずに接続できるため、システム構築側も運営者側も手間が大きく減ると思います。今後は、コンティニュア対応機器を利用したプラットフォームで展開していきたいと考えています」(KDDI研究所 健康・医療ICTプロジェクト プロジェクトリーダー 橋本真幸氏)と述べる。

 シスコシステムズも、同社の遠隔健康相談システム「Cisco HealthPresence」の健康管理機器接続部分をコンティニュアに対応させた。「Cisco HealthPresence」は、テレプレゼンス(HD品質の映像と音声によるビデオ会議システム)とユニファイドコミュニケーション技術を融合し、高品質の動画、音声、ネットワーク接続された医療機器などを利用しながら、遠隔者に高度な健康・医療サービスを提供するためのプラットフォーム。従来はオムロンの自動血圧計をPCとUSB接続していたものを、コンティニュア対応に切り替えた。

パナソニックは、コンティニュア準拠のコンバーチブル型タブレットモバイルPC「レッツノート CF-C1」を出展した

 同社はこのプラットフォームを使って、ツルハドラッグを展開するツルハ(本社札幌市)と共同で、北海道大学の「Health Network System」プロジェクトに参画し、地域住民の健康保持と増進に寄与する遠隔健康相談システムを設計するための実証事業に参加し、検証サービスを実施している。会場では実際に北海道大学と接続して、測定した血圧データを保健師と共有しながらビデオ会議で相談するデモを行った。

 一方、コンティニュア規格対応のBluetooth通信機能を実装したパソコンとして、パナソニックが新型のコンバーチブル型タブレットモバイルPC「レッツノート CF-C1」を出品した。同社はこれまでヘルスケア向けタブレット型モバイルPC「タフブックCF-H1」でコンティニュア対応してきたが、それに続くモバイルPCとなる。同社は、CF-H1を病院内の看護スタッフ、訪問看護・介護スタッフ向けPCと位置付けていた。これに対して、高性能のCF-C1は、医師の病棟回診あるいは訪問診療などの使用場面を想定しているという。

(増田克善=日経メディカルオンライン委嘱ライター)

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