中医協調査:IT化でのコスト削減効果はまだ見えない

IT化費用は1病床当たり年間62万円

 中央社会保険医療協議会(中医協)はこのほど、国内の病院(20床〜1000床以上)に対して医療のIT化に伴う費用や、IT導入によるメリット・デメリットなどに関するアンケート調査を行い、その結果を発表した。調査は2000病院を無作為に抽出してアンケートを行い、210件の回答の中から、「稼働中」と回答した152の病院を対象に結果をまとめた。

 調査によると、電子カルテ/オーダリングシステムや、各部門の業務支援システムを導入した場合の、1病床当たりの年間の平均コストは62万2929円と推計され、対医業収入比率は3.9%に相当する結果となった。

 各種のITシステムの稼働状況は、電子カルテシステムは19.1%、オーダリングシステムは46.7%となった(図1)。2001年に厚労省が策定した「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」の目標(400床以上の病院の60%以上)に対して、病院規模のいかんに関わらず、相変わらず電子カルテの導入病院の比率は低い(2005年10月時点の達成度は21.1%)。

 各部門システムでは、医事業務支援システムが95.4%と最も高く、次いで食事業務支援システムが73.7%、薬剤業務支援システムが63.8%となっている(図2)。


 IT導入による経済効果や業務効率化などの病院経営への影響について尋ねたところ、「診療報酬の請求事務が効率化された」(62%)、「比較可能なデータの蓄積と活用が可能になった」(59.9%)という効果が現れている(図3)。一方で、「業務が効率化され残業時間が減り、人件費が削減された」という問いに「そう思わない」(27.6%)が「そう思う」(22.4%)を上回った。事務的な業務は効率化されてはいるものの、人件費などでのコスト削減にはそれほど寄与してはいない……、という実情が浮かび上がったと言えよう。(井関 清経)


図3●IT導入による変化
 
そう思う
そう思わない
どちらでもない
無回答
システム障害のため業務に
影響があった
32.2
21.7
26.3
19.7
業務が効率化され残業時間が減り、
人件費が削減された
22.4
27.6
34.2
15.8
診療報酬の請求事務が効率化された
61.8
11.2
12.5
14.5
正確な物流管理により在庫が
適正化された
22.4
8.6
36.8
32.2
見読性が向上し、伝達ミスによる
インシデント等が減少した
33.6
5.3
30.3
30.9
処方量の基準値オーバーや
禁忌等のインシデント等が減少した
32.9
7.9
30.3
28.9
医療機関内・医療機関間における
情報交換が容易になった
28.3
9.9
31.6
30.3
医療従事者間の情報共有で、
チーム医療の実施が容易になった
34.9
6.6
28.3
30.3
患者1人当たりの診察時間が長くなり、
外来患者が減った
12.5
23.7
31.6
32.2
パソコンへの入力のため、診察の
際に患者と話す時間が減った
15.8
18.4
34.9
30.9
動画・静止画で、患者にとって
理解しやすい診療が可能になった
32.2
3.9
28.3
35.5
比較可能なデータの蓄積と活用が
可能になった
59.9
6.6
14.5
19.1
 
(%)

※図のデータは、厚生労働省保険局「平成18年度 医療とITに係わるコスト 報告書」から抜粋

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