日医のレセソフト「日レセ」が好調

 日本医師会が普及を推進している「日医標準レセプトソフト(日レセ)」の導入が好調だ。日医が2月21日に発表した2月15日現在の日レセ稼働中の医療機関数は3113件に達した(図1)。導入作業中の医療機関も534施設あり、合わせて3647施設となっている。ほかに導入検討中の施設が256件あるという。2005年までの導入済み医療機関は累計1639件、この1年でほぼ倍増したことになる。月別では2006年9月の増加が最も多く191件増えている。

 従来は4月の医療費改定時期に導入が増える傾向にあったが、むしろ夏以降に増え方が加速した。日医では「足腰がついてきたため」と見るが、診療報酬請求のオンライン化が2011年までに義務化されることになり、医療機関の危機感が一気に高まった影響が大きいと考えるのが自然だ。

 日医はこれまで、導入1万件達成の目標を2011年度としてきたが、今期の好調ぶりに1年前倒しも視野に入れ始めた。

図1 日レセ導入医療機関数の推移

カギは認定事業所の営業・サポート力

 ただし、順調に伸びたとはいえ、レセコン総導入数に対する日レセのシェアは5%以下。今後の発展のカギになるのが、「認定事業所」の活動だ。

 日レセの最新の販売シェア(脚注を参照)は全国平均で11.7%だが、地域によって5%未満から30%弱までと大きな差がある。「認定事業所が十分に機能していて、地区の医師会がORCAプロジェクトに積極的な地域は販売シェアも高い。一方で、山梨県などのように認定事業所が1社もない地域もあり、販売拠点を持っているレセコンメーカーに一歩譲る」(日医)という。

 このため、日医では認定事業所の育成に力を注いできた。1年ごとに認定事業所の新規募集と更新を実施しているほか、戦力となるインストラクターやシステム主任技術者の講習会と認定試験を実施している。

 医療機関への周知を目指す「ITフェア」開催にも熱心だ。2006年度には80カ所で順次実施している。地域医師会に音頭をとってもらい、講演会や実機持ち込みによる展示、ORCAについての説明などを行っている。

 運用開始当初の日レセは、操作性などの点で評判が悪く、「(ORCAプロジェクトの)中止が話題になったことさえある」(日本医師会常任理事の中川俊男氏)ほど。しかし、こまめにインタフェースなどの改良を進めてきた結果、今は“さくさく”動くようになっているようだ。「先生方も初期の頃のイメージで見ないでいただきたい」という。

ナショナルデータベース対抗が狙い

 日医がIT企業からシェアを奪ってまで日レセ導入の拡大を目指すのは、「ナショナルデータベースに対抗するため」だ。診療報酬請求が全面的にオンライン化されると、その情報を集約すれば、日本の診療の全容をリアルタイムで把握できる。同じ水準の情報を持たない限り、“勝ち目”はない、という危機感を日医が持つのは当然だ。中川氏は次のように指摘する。

 「医療の様々な問題は我々にしか分からない部分が数多くある。国に先駆けて医療者側から情報を分析していきたい。地域ごとの定点調査も実施したいが、あの地域は3医療機関しかない、などとなると、どこの医療機関のデータか分かってしまう。参加者が多くないとプライバシーが十分に守れない。1万ユーザーを目指すのは、そのためだ。

 診療報酬請求を行った後で、医療機関や患者の個人情報を除いたデータを日医にも送ってもらう。強制的なものでなく、主旨を理解した上で自主的にお願いする。日レセのソフトに、レセ電算データから個人情報を抜いたデータを日医に送るソフトを組み込み、「OK」ボタンを押すと送信する方式にする。

 既に2006年10月から、10〜20医療機関の協力を得て試行を開始した。今年4月からは日レセを導入しているすべての医療機関に声をかける。医師に極力負荷がかからない範囲でなるべく多くの参加を働きかけるつもりだ。将来的には、日医への情報送信に参加することを、日レセ利用の条件にすることも検討している」。


【脚注】
日本医師会では、一般のレセコンが6年程度でリプレースされることから、レセコンの総導入台数の6分の1を年間のリプレース市場規模とみなしている。この数字で日レセ導入台数を除した値が、日レセの販売シェアとなる。

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