手術後の患者体内への置き忘れを防げる「スマートスポンジ」、NXP社のRFIDチップを採用

SmartSponge

 オランダNXP Semiconductors社は、同社のRFIDチップが、米ClearCount Medical Solutions社の「SmartSponge System(スマートスポンジ・システム)」に採用されたと発表した(ニュース・リリース)。これは、RFIDを利用して、外科手術の際に使用するスポンジ(不要な体液や血液を吸収するもの)を正確に検出・計数するシステムである。患者の体内へのスポンジの「置き忘れ」を防ぎ、患者の安全を確保することを狙う。

 SmartSponge Systemは、RFIDを組み込んだスポンジ「SmartSponge」のほかに、患者の体の上にかざすなどしてスポンジのRFIDを検出するセンサ「SmartWand-DTX」、RFIDの検出・読み取り・計数機能を備えた使用済スポンジの回収器「スマートディスポーザルシステム」などで構成される。SmartSpongeは、あらかじめ決まった数のパッケージで提供され、このパッケージをRFIDリーダーにかざすことで、それぞれのスポンジに与えられたシリアル番号を読み取る。このシリアル番号に対して、スマートディスポーザルシステムにより、使用済みのスポンジの数をチェックする。さらに、「最終的な保険」として、SmartWand-DTXを利用して患者の体の上をスキャンすることで、スポンジが患者の体内に残されていないかどうかを確認する。

 このシステムは、FDA(米国食品医薬品局)によって、手術室での使用を認められた初のRFIDベースのプラットフォームであるという。「外科用スポンジは、手作業で数えたりバーコード・リーダーを使って数えたりすることもできるが、体内の見えない場所で血液に染まっているスポンジを発見することは難しい。このシステムによって、術前、術中、術後における計数能力が高まり、精度と患者の安全性の両方が飛躍的に高められる」(NXP Semiconductors社)とする。

 2008年の「The Journal of the American College of Surgeons」による報告では、患者の体内への異物置き忘れの発生確率は、外科手術5500件中1件、開腹手術1000〜1500件中1件であるという。異物置き忘れの中で最も多いのが、外科用スポンジである。これは、血液を吸収したスポンジを視認することが難しいためとされる。

 SmartSponge Systemについては、2011年4月12〜14日に米国オーランドで開催される「RFID Journal LIVE! 2011」のNXP Semiconductors社ブースで、デモやサンプル公開を実施する予定である。

(小谷 卓也=日経エレクトロニクス)

ページの先頭へ戻る

関連記事

Information PR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. わいせつ容疑の外科医、初公判で無罪を主張 「乳腺科医のプライドにかけて無罪を主張します」 FBシェア数:585
  2. トイレにこそ、人間の尊厳がある Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:480
  3. 原発性アルドステロン症の重症例を見逃すな トレンド◎診断のボトルネックを解消する新たな基準が決定 FBシェア数:200
  4. 下血? 血便? 赤いの? 赤くないの? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:185
  5. 繰り返す乾燥肌やマラセチアの陰に保温肌着 リポート◎保温肌着の愛用者かどうかを聞き取り適切な生活指導を FBシェア数:459
  6. 佐久の医師たちがハッとした海外研修生の一言 色平哲郎の「医のふるさと」 FBシェア数:97
  7. 「どうしてこんな急に!」急変時の家族対応は 平方眞の「看取りの技術」 FBシェア数:34
  8. 輸液の入門書 医学書ソムリエ FBシェア数:0
  9. 医療者は認知症家族との暮らしが分からない 患者と医師の認識ギャップ考 FBシェア数:211
  10. 難治性皮膚潰瘍を再生医療で治す リポート◎大リーガー田中将大投手のケガも治したPRP療法とは? FBシェア数:22