総務省のICTビジョン懇談会が中間報告案

 総務省は2009年3月16日、2015年ころまでを見据えた総合的なICT政策を検討するICTビジョン懇談会(関連記事)の第3回会合を開催した。今回は、これまでの議論を踏まえた中間報告案を総務省が提出。その内容に基づいて議論した。

ICTビジョン懇談会第3回会合の様子

ICTビジョン懇談会第3回会合の様子

 中間報告案は、2月に発表した「ICTニューディール」政策(関連記事)を発展させた内容になっている。「ICTニューディール」政策とは、2008年後半以降の景気後退を踏まえて早急に実施すべき緊急提案として同懇談会が発表したものである。

 具体的には、ソフトパワーによる産業構造の変革を促し、知識集約型産業が主導する「先進的知価創造立国」(デジタル日本)への転換を目指すと提言。重点的に取り組むべき施策として、(1)クラウドを活用した革新的電子政府の構築、(2)医療/教育/農業分野におけるICT利活用の推進、(3)地域ICT 連携基盤の構築、(4)デジタル・デバイドの解消など先進的デジタル・ネットワークの構築、(5)電波の有効活用やオープン・イノベーションによるデジタル新産業の創出、(6)コンテンツ配信などクリエーティブ産業の育成強化、(7)ユビキタス・グリーンICTの開発・展開、(8)ICT産業の国際競争力強化、の8項目を挙げた。これらの施策によって、2015年には100兆円の国内ICT産業規模を2015年をメドに倍増させるとした。

 8項目の中では、さらに踏み込んだ施策を盛り込んでいる。例えば、省庁間でバラバラな行政サービスをクラウド技術を使って効率化する「霞が関クラウド」は、2015年をメドに導入を目指し、年間700億円の経費を削減するという。また行政と国民の結びつきを強くするために、プッシュ配信で行政のお知らせを国民に届けられる「電子私書箱」という施策を提示。さらには日本とインドや中東などとの間で研究開発の取り組みを進める「デジタルシルクロード構想」といった施策も盛り込んでいる。

「何をやりたいのか伝わってこない」という厳しい意見も

 もっとも、この中間報告案に対して、懇談会の構成員からは厳しい意見が相次いだ。米倉誠一郎一橋大学イノベーション研究センター長は、「何がやりたいのか具体的に伝わってこない。経済学的にはゼロ点の文章で、総務省の持っているリソースで何ができるのかをはっきり言うべき」と指摘。國領二郎慶應義塾大学総合政策学部教授も「内容が総花的になるのは仕方がない部分があるが、肝心な部分ではエッジの効かせるべき。例えば総務省として大きな部分は電波の新産業を立ち上げること。その分野でどれだけ大胆なことが言えるのかで報告書の重みは変わってくる」と訴えた。

 ICT産業は日本経済のベースとなっており、通信や放送行政などのICT基盤はまさに総務省が管轄する分野だ。しかしICT基盤の利活用の部分では、例えばメーカーの国際競争力向上は経済産業省、医療分野は厚生省、教育分野は文部科学省などとバッティングする。このような縦割り行政による限界も見えてくる。

 なおICTビジョン懇談会の議論の内容は、政府主導で進められている中長期的なICT戦略を立案を目指した「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」(関連記事)ともリンクして進んでいる。いずれも2009年6月をメドに報告書を取りまとめる予定だ。日本の産業全体を元気づけるような政策の実現を目指し、さらに議論を進める計画となっている。(堀越 功=日経コミュニケーション


発表資料へ(ICTビジョン懇談会)

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