政府が3カ年の緊急プラン、「日本健康情報スーパーハイウェイ構想」を提案

 内閣官房のIT戦略本部は2009年3月2日、府省横断で実施するIT分野の国家戦略を議論する会合を開催。今後3年間の緊急対策をまとめた「デジタル新時代に向けた新たな戦略」の案を公表した。電子政府、医療、環境・知識創造、人材育成の4分野に総額3兆円を投資して40万〜50万人の雇用を創出する計画だ。

 IT戦略本部は3月末までにこの提言を政府に提出する。政府は与党や各省の案と調整してIT分野の成長戦略をまとめる。IT戦略本部の案は「府省横断で特に強いリーダーシップを必要とする分野をまとめた」(座長代理の國領二郎慶應義塾大学教授)という位置付けとなる。國領座長代理は「今回の案は『これでやります』といえる段階ではない。今後2週間でさらに書き直す」と確定版ではない点を強調した。

 電子政府では(1)行政事務の原則電子化をうたった「電子行政推進法」の制定、(2)社会保障情報を国民自身で受け取れる「電子私書箱」、(3)自治体への源泉徴収を電子申請可能にする「地方税申告基盤」、(4)府省横断で業務・システムを最適化する「行政情報共同利用支援センター」、(5)府省横断でサーバーを統合する「霞が関クラウド」、(6)企業や個人に付与する一意なID体系、(7)電子行政を推進する組織「電子行政推進本部」の設立と「政府CIO」の設置、(8)法改正なしで先行導入できる「デジタル特区」の設置が提案された(すべて仮称)。

 これらの施策で行政手続を効率化するほか、蓄積した情報の再活用による新産業の創出を目指す。

 医療分野では「日本健康情報スーパーハイウェイ構想」(仮称)を提案。医療機関同士で情報連携を可能にするインフラを構築する。環境・知識創造型産業の創出では情報通信機器の省エネ化促進やITS(高度道路交通システム)の推進、空間情報インフラの構築などをうたう。

 人材育成としては大学院レベルの高度人材の育成とともに、中小企業のIT武装を支援する中程度のIT活用能力を持つ人材の育成も実施。そのための教育機関や資格制度などを整備する。

 会合では様々な意見が続出。村井純慶應義塾大学教授が「目標とする国家ビジョンが必要だ。ITを使ってそのビジョンにどう近づけていくかというアプローチを取るべき」とする一方で、「今回の案は緊急プランなので4分野に集中するというメッセージが重要」(野村総合研究所シニア・フェローの村上輝康氏)という意見が出るなど委員の間で見解の相違が見られた。このほか、各論でも様々な点で異論が出た。最終的な提言は、今回の案からやや修正されたものになりそうだ。(白井 良=日経コンピュータ

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