日立、医療機関用の位置検出技術を開発

エアセンスの中継器、これ自体がセンサーを内蔵している

 日立製作所はこのほど、体温や体動などの情報をワイヤレスで収集、位置も特定できるシステムを開発、東京医科歯科大学における実証実験に成功したと発表した。このシステムを利用すれば、病室外で容体が急変した入院患者の状況と所在を速やかに特定するといった応用が期待できる。低出力の「ZigBee(ジグビー)」と呼ばれる無線方式を採用しているため、医療機器への影響も少ないという。

 実験では、壁面に中継器を設置し、位置検出専用センサー(タグ)とセンサー内蔵型のエアマットを搭載したストレッチャーに人を乗せ、廊下を移動した。その結果、誤差15m以内の精度で、リアルタイムに位置を特定することができた。

 このシステムは、日立製作所ワイヤレスベンチャーカンパニーが2006年1月に発売したセンサーネットワークシステム「AirSence(エアセンス)」をベースにしている。位置検出タグには容積22ccと小型の試作品を採用したが、他のハードウエアは既存製品をそのまま流用し、中継器のソフトを変更するだけで位置検出を可能にした。

 位置検出の原理はシンプルだ。移動するセンサーからの電波を受信した中継器が複数ある場合、電波の強さを比較して現在位置を割り出す。電波の到達時間の差から位置を特定する方法ほどの精度は得られないが、実験の結果、15m以下の誤差で位置を特定できた。専用ハードが不要なため、タグや中継器の小型化、低消費電力化、低コスト化が実現できる。


院内の医療機器管理にも有効
 エアセンス・システムで採用しているZigBee方式は、一般的な無線LANと同じ2.4GHz帯の電波を使う。PHSや無線LANよりも低出力で、屋内数mから100m程度の伝送ができる。最大の特徴は、端末に中継機能があり、電波が直接届かない端末間のデータのやり取りを順次中継できること(中継機能を持たない端末もある)。このため、個々の端末は低出力でもよく、低コストで信頼性の高いネットワークが構築できるため、特に産業用として期待されている。1つのシステムが収容できる端末数は最大6万5000と余裕がある。

 医療機器に悪影響を与える可能性が少なく、確実な伝送が可能なので、医療分野でも普及する可能性は高いと見られる。

 日立と東医歯大では医療機器に位置検出タグを組み込み、機器管理に用いる実験も実施、ストレッチャーにタグを装着した場合と同様、位置を検出できた。大規模医療機関では数百台の医療機器を運用しており、貸し出し・回収などの管理に頭を悩ませているケースは少なくない。今後、医療機器管理システムとの連携ができれば威力を発揮しそうだ。

 日立ではこのほか、北海道深川市の老人ホームで、時計型端末を使った「リアルタイム遠隔健康見守り」システムの実験を行っている。腕にはめるだけで脈拍と体動を送出でき、緊急通報も可能なもの。「将来は病院でも利用できるようにしたい」(日立)という。

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