すずかけヘルスケアホスピタル(静岡県磐田市):回復期病院のチーム医療を支える電子カルテシステム

リハビリ中心への方針転換を機に情報共有環境を刷新

約400平方メートルある中央訓練室

 「現状から短期間で導入できるという視点で、まずワイズマンのシステムを継承することが第一の選択肢としてあったのは事実です。しかし業態変革に対応できることを最優先に考え、改めて他のベンダーの製品も幅広く検討しました。コストパフォーマンスの高さ、使い勝手の良さ、外来・病棟、回復期医療対応、当時まだ残っていた介護療養のための介護保険対応と、さまざまなニーズに応えられるという理由で、最終的にワイズマンの電子カルテシステムERを選定。同時に病棟看護支援システムも、最新バージョンへリプレースすることを決めました」(久野氏)と経緯を述べる。

 2010年1月には、回復期リハビリテーション病棟がオープン。リハビリ部門のスタッフを増やしたことで、リハビリ支援システムを強化する必要が出てきた。「患者とリハビリスタッフのスケジュール管理や実施単位数の管理が十分でなく、業務に支障をきたしてきたため、再検討せざるを得ませんでした。他社のリハビリ支援システムを選択する考えもありましたが、電子カルテシステムとの連携を懸念していました。ところが、ワイズマンが、タック(岐阜県大垣市)のリハビリテーション支援システムを販売していることを知りました。これなら、コストを抑えつつニーズに対応できると判断しました」(久野氏)。こうして、2011年6月からリハビリテーション支援システムを本格稼働させることになった。

訓練室の奥にあるスタッフルームの様子

 「これまでシステムを運用してきて最も評価するところは、現場のニーズに対して多彩なアプローチを持ち、標準的に実装された機能で多くの案件を解決できる点です」と久野氏はいう。導入作業の過程で業務整理や仕様確定に時間を十分に割くことができなかったため、運用後に仕様変更の要求を出すことが何度もあった。そうした現場のニーズのほとんどは、「実は、実装された機能を用いて対応できました」と久野氏は述べる。副院長の草部拓馬氏は、「診療科に合わせた処置入力の方法など、インタフェースの変更に際して、要求を出すと迅速に対応してくれるので非常に助かります」と、サポート対応を評価している。

●強化されたリハビリ支援システムで、訓練計画作成が効率化

 電子カルテの導入によって、情報の共有度が格段に上がった。病棟看護師やリハビリ部門のスタッフは、どこにいても診療録の参照が可能になった。また、看護記録もすべてシステム化したことで、リハビリスタッフも病棟における患者の状況がつぶさに把握できるようになった。「看護師や療法士の持っている情報、医療相談員の持つ患者の家の間取りや家庭環境の情報など、多くの情報を統合的に参照できるようになりました。患者の状態を正確に評価でき、その認識を全スタッフで共有しながら機能回復を進めることが可能になりました」(久野氏)という。

 リハビリ部門の責任者である理学療法士の宮内良治氏は、病棟看護師との情報共有における病院情報システムの効果を次のように話す。「以前は、患者の病棟での状況を知るためには直接聞くしかありませんでしたが、そうしたコミュニケーション環境ではやり取りが記録に残りません。システム化された情報共有環境では、どこで誰が何を実施したかという結果だけでなく、どのようなやり取りをしたかについても記録・検証できます。それが最大のメリットです」(宮内氏)。

副院長の草部拓馬氏

 さらに宮内氏は、強化されたリハビリ支援システムにより、訓練計画の作成業務が効率化されることを期待している。従来は病棟での入浴時間やADL(日常生活動作)リハビリスケジュールが療法士に伝えられ、その合間の時間に機能回復訓練を入れていくという作業だった。しかし、システム連携によってスケジュール化が容易になった。

 「これまでは、2人で3〜4時間かけて訓練予定を表計算ソフトに入力して管理していました。これからは電子カルテシステムと連携して検査予約や入浴予定が自動的に取り込まれるので、療法士のスケジュールと合わせてリハビリの予定作成が容易になり、負担が大幅に減るでしょう。また、回復期管理などの統計データ作成も、比較的簡単にできそうです」(宮内氏)。

事務部ミドルマネジャー 法人電算担当の小西政昭氏

 一方、院内情報システムが整備されたことによって、各種の診療報酬加算を算定できるようになり、収益向上に寄与しているという。「システム化に伴って業務が整理されるともに院内の体制が整ったため、各種の施設基準を満たせるようになりました。結果的に診療報酬の算定がスムーズになり、収益向上につながりつつあります」(事務部ミドルマネジャー 法人電算担当 小西政昭氏)。

 現在、すずかけヘルスケアホスピタルは、約400平方メートルの中央訓練室を備え、39人の療法士がリハビリに当たっている。来年度はさらなる増築を予定しており、リハビリ部門スタッフ数を70人に増員する計画だ。病院情報システムが果たす役割は、さらに大きくなる。久野氏は「リハビリテーション機能のさらなる拡充と、急性期病院・かかりつけ医・老人保健施設との連携強化を図り、地域・社会のニーズに応える回復期病院として確固たる地位を築いていきたい」と話を結んだ。

(増田 克善=日経メディカルオンライン/デジタルヘルスOnline 委嘱ライター)


 

■病院概要
名称:医療法人 弘遠会 すずかけヘルスケアホスピタル
所在地:静岡県磐田市大原2042-4
開設:2003年6月
診療科目:内科、リハビリテーション科、脳神経外科、整形外科、リウマチ科
病床数:回復期リハビリテーション病棟 106床、医療療養病棟 54床
医療スタッフ:病棟専任医師 2人、リハビリ専門医師(非常勤)1人、理学療法士 19人、作業療法士 15人、言語聴覚士 4人、看護師 38人他
Webサイト:http://www.suzukake.or.jp/healthcare/
主要導入システム:ワイズマン「電子カルテシステムER」「病棟看護支援システムER」「タックリハビリテーション支援システム」「医療事務管理システム」

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