IT化で訪問看護の業務負担軽減とサービスの質向上を目指す

訪問看護システム・MCA・コンティニュア対応機器による連携システム---セントケア・ホールディング

エー・アンド・デイの自動加圧式電子血圧計

 一方、エー・アンド・デイの自動加圧式電子血圧計とメディカル体重計は、コンティニュア設計ガイドラインに準拠したもの。近距離通信規格であるBluetoothで、測定データをMCAに転送できる。セントケアは、訪問看護支援システムもコンティニュアに対応させている。患者宅で測定したバイタルサインは、MCAを介して自動的に当該欄に入力されることも可能だ。

 12人の訪問看護師が所属する訪問看護ステーション三鷹では、常時稼働する4〜5人の看護スタッフが毎朝、MCAを持って患者宅に向かう。導入前は、前回訪問の看護記録やバイタルサイン記入票、ケア表などを揃えて持ち運び、現場では手書きでメモ。帰所後にデスクトップPCで訪問看護支援システムにアクセスして、1日の記録を入力していた。現在では、アセスメントからケア記録までのほとんどを、患者宅や移動中に入力できるようになった。
 

メディカル体重計

 「その場で入力できるようになったことで、現場で適切な判断が示されるというメリットがありますし、記憶が新鮮なうちに記録できることが大きいですね。バイタルサインも自動で入力されれば、作業の手間がかからなくなるので良いと思います。もちろん、お客様との応対や業務内容によっては、その場でアクセスして操作することができない場合もあります。ですが、以前のように帰所後でないとシステムに入力できない状況では、メモを残していても記憶が不確かなどの理由で、記録漏れが起こる可能性が否定できませんでした。帰所後の入力作業時間を考慮しなければならないので、訪問件数がある程度限定されるという問題もありました」(臼田氏)と、看護現場での業務効率の向上に役立っていると述べる。

 一方岡本氏は、看護現場で入力が可能になる大きなメリットとして、看護師の心身的な負担の軽減を指摘する。「訪問看護の現場には、いろいろな患者さんがいます。家族が同席する中、1人でプレッシャーを感じながら、精一杯頭をフル回転させて、気配りしながらサービスしているのが実情です。1日の看護業務が終わった後、記録のための時間を削減できるだけでも、精神的な負担は減ったと確信しています。現場スタッフの負担を低減すれば、サービスの質は上がるでしょう。それが最大の目標です」と強調する。

 
●コンティニュア対応デバイス開発は現場のニーズ指向で
 

熱心な話し合いが続く定例ミーティング

 セントケアは、訪問看護ステーション三鷹での訪問看護支援システム、MCA、コンティニュア対応血圧計・体重計の連携による仕組みの実証実験を踏まえて、当面は今年の6〜7月にCF-H1を全拠点に配備する計画だ。

 コンティニュア対応のバイタルサイン測定機器の展開については、「シーズ指向ではなく、看護現場のニーズを汲み取って製品化してほしいと思います」と岡本氏は要望する。「例えば、骨粗鬆症の高齢患者さんに対しては、自動加圧式の血圧計は骨折のリスクがあるため、看護の現場では手動加圧式を使っています。コンティニュアに対応した手動加圧式の電子血圧計があれば、今後多くの拠点で導入する考えはあります」(岡本氏)。

 また臼田氏は、訪問看護の現場を担う立場から、血圧計や体重計の他にパルスオキシメーターや呼吸検査器、血糖値測定器、尿量計などのコンティニュア対応を期待している。さらに、こうした医療用測定機器と訪問看護支援システムの連携を前提にした、現場で役に立つアプリケーション開発を望むという。

 「理想を言えば、状態把握を容易にするために、色で体温が分かる温度板のような可視化の仕組みを組み込んでほしいと思います。時系列的にデータに基づいた状態把握が、現場では最も必要とされるからです。また、注意すべきバイタル値や、お客様に変化があったとき、あるいは観察で気になった事項を記録した場合、次の看護担当者が患者情報にアクセスしたときにアラートを表示してくれるような機能があれば、さらに利便性が高くなると思います」(臼田氏)。

 こうした機能は、電子カルテ・病棟看護支援システムでは実現されている。常時モニタリングすることのない訪問看護支援システムでは同じレベルの機能は必要ないとはいえ、訪問看護の業務負担を軽減し、サービスの質を高めるためには、こうしたシステム的な支援も大切だといえよう。(増田克善=委嘱ライター)



(注)コンティニュア・ヘルス・アライアンスは、主に個人が利用する血圧計、体重計といった健康管理機器や医療機関が利用する医療機器と、これらを活用したシステムやサービスを主に無線ネットワークで連携させることで、パーソナルヘルスケアの進展、QOL(生活の質)向上を目指すNPO法人。日本地域委員会は、インテルが代表企業を務めている。




■事業者概要
名称:セントケア・ホールディング株式会社
所在地:東京都中央区京橋2-8-7 読売中公ビル5F
設立:1983年3月
代表:代表取締役会長兼社長 村上美晴氏
事業内容(グループ):訪問看護サービス、訪問介護サービス、居宅介護支援サービス、グループホーム、デイサービス、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、有料老人ホーム他
Webサイト:http://www.saint-care.com/
導入システム・機器:メディカル・データ・ビジョン「看護のアイちゃん」、コンティニュア・ヘルス・アライアンス対応機器など
 

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