情報の一元化・共有化でチーム医療を促進

電子カルテにコメディカルの患者記録の集約---社会医療法人 興生会 横手興生病院

事務電子機器係の伊藤剛氏

●チーム医療促進によって質の高い治療・ケアが可能に

 導入したのは、電子カルテシステムER(カルテおよびフルオーダー機能)を中心に、病棟看護支援システムER、リハビリ管理システム、医療事務管理システム。以前は、医師による紙カルテをはじめ、看護師や作業療法士、臨床心理士など、それぞれの職種で患者記録を個別に保持していたため、患者の状態を俯瞰することが非常に難しかった。現在では、患者ごとに一元化された情報を診療スタッフが共有できるようになり、チーム医療を推進する環境が整った。

 神原氏は「自分たちで管理している看護記録は常に目を通していましたが、作業療法士が作成している患者の記録簿は、必要に迫られない限り見る機会はありませんでした。精神科の患者さんは、相手をする人によって異なった顔を見せることがあります。電子カルテシステムを中心に、コメディカルによる患者記録が一元化されたことで、患者さんの状態をより確実に把握できるようになりました。多面的な顔を見せる患者さんの素顔、エピソードを全員が把握して、それを総合的に評価するところにチーム医療の意味があります。その結果、質の高い治療・ケアの実践につながると思っています」と、導入の効果を期待する。

 また、看護支援システムの導入によって、標準的な看護業務をマスター化して看護計画を立てるようになったことにより、看護計画業務の効率化が図られるとともに標準化による看護業務の質的向上が図られるようになった。「システム化により、標準看護計画とはどういうものかを見直す機会にもなりました」(神原氏)と指摘する。

●入院診療計画へのクリニカルパス適用を推進

 このように、チーム医療推進のツールとして電子カルテシステムの導入効果は現れている。しかし、精神科特有の実務に合った機能実装は、満足できる段階ではないという。「例えば、生活指示オーダーや行動制限オーダーなど一般科と異なるオーダーで、診療加算可能・不可能の区別なく指示したい、あるいはオーダー以外のドクター間の伝達指示も同じ画面で指示したい、といった要望にはまだ対応できていません。また、精神科の患者さんは数十年という長期通院・入院している方もいるので、過去の病歴や生活史履歴の検索機能をより充実させるなど、改良を施していく必要があります」(神原氏)。

 既存システムとの連携では、地元システムインテグレータと共同で開発し、2006年から使用している業務支援システムとの検証を進めている。同システムは、患者情報に基づいて外来予約管理、病床管理を行うもの。患者基本情報、入院形態、転院情報などを電子カルテシステムERと連携させて、急性期病床管理を補完していく計画という。

 また、入院時診療計画作成においてはコメディカルチームが構成され、退院に向けたケアが行われているが、その診療計画の標準化は実施できていないため、診療工程の標準化を目指す。「4月からスーパー救急病棟が運用予定ですが、その施設基準を継続して満たしていくためにも計画的な治療ケアと退院促進が求められます。これまで5年間の精神科急性期病棟の運用で蓄積したノウハウを基に診療計画を標準化し、クリニカルパスの試行を検討しています。いずれ、そのパスを電子カルテ上で実現していきたいと考えています」と神原氏は、将来の構想を語った。(増田 克善=日経メディカル オンライン委嘱ライター)
 


横手興生病院の外観。明るい色のモダンな建物である

 ■病院概要
名称:社会医療法人 興生会 横手興生病院
所在地:秋田県横手市根岸町8-21
開業:1946年、設立:1956年
理事長・院長:杉田多喜男氏
診療科目:精神科、内科、皮膚科
病床数:378床
Webサイト:http://www.kohseikai.com/
導入システム:ワイズマン「電子カルテシステムER」「病棟看護支援システムER」「リハビリ管理システム」「医療事務管理システム」

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