指示・確認/実施の可視化により業務効率と安全性が向上

診療スタッフのコスト意識も醸成 --- 事例研究:医療法人 寿康会 寿康会病院

●情報共有・指示の可視化によりミスが減少し、業務効率性が向上

 電子カルテシステムが本稼動してまだ5カ月弱であるため、明確な費用対効果は見いだせる段階ではない。が、大きな成果として現れ始めていることは、情報共有が促進されるとともに、指示および確認・実施というプロセスが可視化され、診療スタッフの動きが効率化し、実施に伴うミスが減少していることだという。

「注射薬実施に行う3点チェックは、安全性がとても高まった」という長江氏(撮影:今

「注射薬実施に行う3点チェックは、安全性がとても高まった」という長江氏(撮影:今井雅文)

 「医師はその都度、不慣れなシステムで決められた形のオーダーを行わなければなりません。従来の紙カルテでは、フリーペーパーに医師が自由に表現し、記入していたのに対し、オーダリングシステムではそうはいきません。決められたスタイルからはずれると“エラー”になり、オーダーが成立しないのですから、医師たちのストレスはかなりのものだったでしょう。しかし、看護スタッフは、すべて統一された形で指示が可視化され、確認・実施というきちんとした業務プロセスがシステム化されたことで、効率的な動きになったと思います」。

 長江氏は続ける。「例えば、注射薬実施に行う3点チェックによって、安全性がとても高まりました。指示薬剤のバーコード、患者さんのバーコード、実施者のバーコードを読み取り、確認されてはじめて実施されるからです。高齢者が多く、会話が困難な患者さんが多い現場では、患者さん確認は重要です。3点チェックの導入は、この不安を解消してくれました」。

●スタッフの診療報酬算定知識が向上

 オーダリングでは、診療報酬で記載されている名称や表記でのオーダーとなるため、スタッフは正確な名称や表記を学ぶ必要がある。昔から医療現場では、独特の言い回しや表現があったり、病院独自の言語が使用されていることがあるが、本来、そのような表現はカルテとしてはあいまいで、望ましくない形だ。結果として、そのような記載から診療報酬を算定した場合、医事課スタッフのスキルにより診療報酬漏れの原因にもなる。システムによるオーダー開始直後は、かなりとまどっていたスタッフも、日々繰り返される作業により、徐々にではあるが診療行為と診療点数を正確にひも付けできるようになった。

 最後に長江氏は、「200床以上の総合病院などでは、比較的早くから電子カルテシステムの導入が進められていますが、中小規模病院での導入は現段階でも困難な要素が多々あるのが現状です。導入費用、導入時の人員配置、そして何よりも病院全体が一丸となって取り組まなければ不可能で、メリットよりもデメリットの方が先行します。当院は、中規模病院としては市内で最も早く電子カルテを導入した病院だと思います。今後は、いち早くIT化に取り組んだ自負のもと、初期のデメリットを超えるメリットを生み出し、それを患者サービスに還元することによって、病院改革が結実すると考えています」と結んだ。(増田 克善=委嘱ライター)

電子カルテシステムER新版のユーザーインターフェース

電子カルテシステムERの新版では、データインデックス社の医薬品データベースを新たに採用し、用法・容量、適用病名、禁忌病名などを表示し、加えて、同一ウィンドウ内に薬剤名称を表示する機能を実装したERのインターフェース(国際モダンホスピタルショウ2009で撮影)



(撮影:今井雅文)

(撮影:今井雅文)

■病院概要
名称:医療法人 寿康会 寿康会病院
所在地:埼玉県川口市西青木2-15-10
開院:1961年
診療科目:内科、循環器科、胃腸科、外科、整形外科、肛門科、婦人科
病床数:90床(一般病床48床、療養型病床42床)
Webサイト: http://www.jukoukai-hp.or.jp/
導入システム:ワイズマン「電子カルテシステムER」「病棟看護支援システムER」「医療事務管理システム」

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