事例研究:道南地域医療連携ネットワーク「MedIka」

データ非蓄積型の連携サーバ採用でコスト抑える

カレンダー表示の画面イメージ

カレンダー表示の画面イメージ

 MedIkaの患者情報共有画面の特徴は、患者に対する処方、注射、検査、画像などの実施日と結果、および読影レポートやノート(通達文書)がカレンダー上にアイコンで表示されていること。アイコンはそれぞれの結果にリンクされていて、クリックすることで情報を呼び出せる。「すべての科の処方や検査状況がカレンダー画面で把握できるため、いつ、どんな処方や検査が実施されたのか視覚的な一覧性が高く、診察経過がわかりやすい」(高橋氏)という。

 また文書一覧や画像一覧のページでは、その患者にかかわる診療情報提供や退院時要約、各種医用画像が作成日順に一覧表示される。一方、ノート機能は、医師、訪問看護師、薬剤師などとのコミュニケーションツールとして利用できる機能。「今後、訪問看護ステーションや調剤薬局との情報共有を進めていく計画ですが、例えば、薬剤師にとって処方せんだけでは何の診断で処方された薬なのか判断できないときなど、ノート機能で内容を伝えることで、患者状態を把握できるとともに的確な服薬指導にも繋がるでしょう」(高橋氏)と、その活用法を指摘する。コミュニケーションツールとして利用することで、オーダリングや電子カルテが導入されていない施設でも双方向の情報提供・共有ができる特長を備えるといえよう。

 また、MedIkaではファイルを転送・共有することもでき、この機能を使って地域連携パスによる治療を推進していく予定。地域連携パスについては、道南脳卒中地域連携協議会に参加する医療機関でパスの運用が開始されているが、通常はパスを記したExcelファイルを患者に持たせるか、メールに添付してやり取りしている。市立函館病院と高橋病院間では、このパスのファイルをMedIka上に乗せてやり取りするようになった。今後さらに既存の地域連携パスや新たに作成していくパスをMedIkaのプラットフォームを活用して医療連携を推進していく計画という。

●お互い顔が見える関係構築が医療連携成功のカギ

 MedIkaの運用実績は、市立函館病院分については2008年4月から10月末までの7か月で全10施設に対して209例、その前年1年間の試験運用も加えると598例を上げているという。209例中、123例が高橋病院との連携であり、他の医療施設との連携が増えないのが課題の1つだと下山氏はいう。両病院の医療連携が円滑に進んでいる背景には、高橋病院のリハビリ担当医師や理学療法士が市立函館病院の病棟を訪問したり、逆に函館病院の整形外科医が高橋病院の病棟を訪問して転院後の患者にかかわるなど、両者の医療スタッフが日頃から積極的に連携強化に努めているからだという。

 下山氏は、「MedIkaという道具があるから連携が強まるわけではない。やはり日頃から具体的な診療交流を深めながらお互いの顔が見える関係を築いてこそ、医療連携が効果を上げると考えています」と強調する。伊藤氏も、MedIka以外にID-LINKを導入して地域医療連携を推進している他の事例を踏まえて、「地域医療連携ネットワークを成功に導き、実効性を高めるためには、地域内の医療機関、医師どうしのヒューマンインタフェース、医療施設と患者のヒューマンインタフェースの構築が重要だ」と指摘する。

 また、下山氏は、協議会のメンバーはそれぞれ日常の診療業務に追われているのが実情で、医療連携へのマンパワー不足も参加施設がなかなか増えない理由の1つとする。あわせて、情報の閲覧のみだと無料ということもあり、機能拡大したくとも資金不足がネックになっているという。現在は市立函館病院の地域医療連携室が中心となり高橋病院が事務局となって運営しているが、今後NPO法人化して急性期病院や薬局への参加施設拡大を働きかけるとともに、運用資金確保に務めていく計画だという。

 道南地域医療連携ネットワークが現実に動き出して約1年。この1年を振り返って下山氏は、「地域連携には、さまざまな壁があり、苦しく困難な作業ばかり。市内100施設の参加を目標にしていますが、それぞれテリトリーがあり、その壁を未だ乗り越えていません。正直、打開策はなかなか見あたりませんが、だからといって走りだしたものを止めるわけにはいきません。限られた医療資源を効率的に活用するために、『競争から共生へ』の考えを持ち、地道な作業を続けていく以外に方法はないでしょう」と述べた。(増田 克善=委嘱ライター)

高橋病院の外観

高橋病院の外観

市立函館病院
住所:北海道函館市港町1-10-1
病床数:724床
年間入院患者数/年間外来患者数:延183,000人/301,840人(一般診療)
URL:http://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/


医療法人社団 高橋病院
住所:北海道函館市元町32-18
病床数:179床(一般病棟59床/回復期リハビリテーション病棟60床/介護療養病棟60床)
URL:http://www.hotweb.or.jp/takahashi-hp/


■プラットフォーム開発:
株式会社エスイーシーhttp://www.hotweb.or.jp/sec/


道南地域医療連携協議会http://www.mykarte.org/xoops/

ページの先頭へ戻る

前のページへ

次のページへ

関連記事

Information PR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医師国家試験を解答するAIの正体教えます トレンド◎人工知能が医療現場にやってくる FBシェア数:129
  2. その開業話、本当に進めても大丈夫ですか? その開業、本当に大丈夫ですか? FBシェア数:19
  3. 清掃中に生じた精巣痛の原因は? 山中克郎の「八ヶ岳から吹く風」 FBシェア数:32
  4. 「教えるプロ」に学ぶ、下部消化管内視鏡検査 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:2
  5. 脳梗塞に対するt-PA投与をiPhone使って判… トレンド◎日本初の保険適用アプリ「Join」、入院日数・医療費減にも効果 FBシェア数:348
  6. 向精神薬になったデパス、処方はどうする? トレンド◎ベンゾジアゼピン系薬の安易な処方に警鐘 FBシェア数:1300
  7. 燃え尽きる前に、やるべきことは1つ! 研修医のための人生ライフ向上塾! FBシェア数:0
  8. 男性医師は何歳で結婚すべきか、ゆるく考えた 独身外科医のこじらせ恋愛論 FBシェア数:201
  9. デパス向精神薬指定の根拠とは Interview FBシェア数:148
  10. 天才は、扱う人間を格付けする意味で罪作り!? 松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」 FBシェア数:0