議論すべきは、今です

―― 前回の第28回総会は東日本大震災の影響を大きく受けましたが…。

 その通りです。全国の先生方や医療に携わる方々が一堂に会して議論できるのは8年ぶりということになります。
 しかし、その間に日本社会は大きく転換を迫られてきました。団塊の世代が今年65歳の坂を越え、いよいよ超高齢化社会が到来します。それによって、これまでの健康保険制度や年金制度などの社会スキームが大きく変革を迫られます。すると医療、介護の現場は真っ先にこの影響を受けます。ですから、いま私たちも真剣に議論しないと、高齢化社会の大波に対処できません。医学・医療も変わる、これからの健康社会をみんなで作っていく、その今しか許されない議論にぜひ大勢の方々に参加していただきたいと思います。

分野を越えた議論は社会の要請

―― そうした環境の下、今回の総会での議論はどのようなものになるでしょうか。

 総会は個々の分科会ではなしえない、分野を横断する議論ができる貴重な機会です。そこで、先に述べたような社会の要請から20の議題を予め抽出して、そのテーマごとに議論をしていただくことにしました。その横串の議題設定が第一の特徴です。これら20の議題を、今回のメインテーマに示されているキーワードである「医学」、「医療」、「きずな」の3つのカテゴリーに分類し、「20の柱」と呼びます。「20の柱」には、たとえば「先制医療」、「在宅医療」、「死生学」など、地域の健康を預かる先生方にも身近な課題がたくさん盛り込まれています。これだけ分野を横断するテーマですと、特定領域の専門家だけでは議論できません。ですからできるだけ多くの、さまざまなご専門の先生方に集まっていただきたいのです。

「開かれた総会」を実現するために

―― 第一の特徴は「分野を越えた議論」。では、二つ目はなんでしょうか。

 先ほど掲げた社会的課題は、私たち医療者だけでは解決できません。異なる領域の専門家、行政、企業、そして一般市民の方々の知恵が求められます。そのためには開かれた議論の場が必要です。これを実現する試みが第二の特徴です。異分野の方に参加していただくのはもちろん、企業や市民の皆さんに公開するセッションも用意します。さらにメディアを通じて国民的なご理解をいただけるような広報活動にも注力します。
 しかし、なんといっても日頃、医学・医療の最前線におられる先生方、スタッフの方々が議論の中心を担っていただかねばなりません。それこそが「開かれた医学会総会」を実現する第一歩だと考えております。

―― 開かれた医学会総会で分野横断的な議論がより多くの方々によって活発に行われ、今日の社会が直面する課題解決に明るい道筋がつけられることを期待しています。