この点については、「生活習慣の修正のみ行う」という誤解が多かったため、今年9月発行の「高血圧治療ガイドライン2009ダイジェスト」では注釈が追加された(表1)。島本氏は、「メタボリックシンドロームにおける降圧目標やリスク層別化は、メタボリックシンドローム自体が血圧高値に加えて糖代謝異常、腹部肥満、脂質異常を合併してくる複雑な病態であるため、どうしても複雑にならざるを得なかった。次回の改訂では、リスク層別化についてはもっと整理して分かりやすくしたい」と述べた。

表1 メタボリックシンドローム合併高血圧の治療

 一方、糖尿病を合併する高血圧の治療計画に関しては、高リスクに該当することから、130/80mmHg以上を治療開始血圧とし、生活習慣の修正・血糖管理と合わせて、直ちに薬物療法を開始することになり、薬物療法の第一選択薬もRA系阻害薬であるACE阻害薬とARBの2つに変更された。

 以前のガイドラインでは、第一選択薬の1つだったCa拮抗薬が第二選択薬となり、利尿薬と同列に位置づけられた。これは、ACE阻害薬やARBが糖尿病性腎症の発症抑制、インスリン抵抗性の改善などにおいてCa拮抗薬よりも優れており、心血管疾患の予防に関してもCa拮抗薬と差がみられないというエビデンスが蓄積されてきたため。

 なお、Ca拮抗薬と利尿薬を第二選択薬として並べた根拠は、2型糖尿病性腎症を伴う高血圧患者を対象にACE阻害薬を基礎薬として利尿薬併用とCa拮抗薬併用を比較したGUARD試験の結果に基づいている。この試験では、微量アルブミン尿の減少は利尿薬併用群が優れ、一方、降圧効果と推算糸球体濾過量の維持はCa拮抗薬併用群の方が優れていた。ただし、この試験は被験者数が約300例と少なく、観察期間も1年にすぎない。そのため島本氏は、今後のエビデンスの蓄積次第では第二選択薬の位置づけが見直される可能性があることを強調した。