5年ぶりの改訂となった「高血圧治療ガイドライン2009」(JSH2009ガイドライン)が公表されたのは2009年1月。その9カ月後に開催された第32回日本高血圧学会総会の特別企画「JSH2009ガイドラインを検証する」では、公表後の同ガイドラインの認知状況や主な変更点などが紹介されたほか、学会に寄せられた意見を踏まえ、今後の検討課題について議論が交わされた。その概要を紹介する。


東北大学大学院臨床薬学教授の今井潤氏

 日本高血圧学会はJSH2009ガイドラインの普及を目的に、2009年1月から5月にかけて全国194会場で教育講演会を開催した。その際、今回(2009年版)と前回(2004年版)のガイドラインの認知度などを把握するため、アンケート調査を実施。東北大学大学院臨床薬学教授の今井潤氏が、その主な結果を報告した。

 このアンケートは講演を聞く前の認知度・理解度を確認するため、講習会開始前に配布、回収された。講演会に参加した医師1万2306人のうち6904人が回答し、延べ6726人(参加1回目が5946人、同2回目以上が670人)から有効回答を得ている。 講習内容を聞いていない1回目の回答者の中で「JSH2004ガイドラインの存在を知っていた」のは95.3%に上ったが、内容を熟知していると答えたのは26.8%だった。一方、「JSH2009ガイドラインが公表されたのを知っていた」のは87.9%で、「ガイドラインを入手して読んだ」との回答は37.7%に達した。

 血圧評価については、その大前提となる診察室血圧の高血圧基準値(収縮期血圧[SBP]140mmHg/拡張期血圧[DBP]90mmHg)に関する認識はあまりよくなかった。正答率はSBPが72.7%、DBPが62.4%であり、両方とも正しく回答した医師は54%に過ぎず、「必ずしも高いとは言えない」(今井氏)。ただし、誤回答の大半は基準値よりも低かったため、今井氏はその理由を「診察室血圧からそれぞれ5mmHg低い値の家庭血圧の基準値や降圧目標値と混同しているのではないか」と推測した。

家庭血圧測定の意義は浸透
 JSH2009ガイドラインでは前回ガイドラインに引き続き、24時間にわたる血圧管理や家庭血圧の重要性を強調している。この点に関する質問では、92.7%が「日常診療で患者に家庭血圧測定を勧める」と答え、また、日常診療で重視している血圧については、「家庭血圧を重視する」と「診察室血圧と家庭血圧を同等に重視する」との回答を合わせると91.6%に達するなど、家庭血圧の臨床的意義は十分に浸透していることが明らかになった。