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2008/3/25

【学会トピックス】

予防的マスク対策で、インフルエンザの二次感染を防ぐ

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インフルエンザ | 院内感染

 インフルエンザの院内での二次感染を防ぐ「予防的マスク対策」が効果をあげている。流行時に、医療スタッフをはじめとする職員全員と患者や来院者もがサージカルマスクを着用するもので、2003年から取り組んでいる道後温泉病院の大西誠氏は、「導入後、院内流行は起こっていない」と有効性を強調している。2月に長崎で開催された日本環境感染学会で成果を報告した。

 道後温泉病院では2002/2003シーズンに院内流行を経験した。これを機に、インフルエンザ対策を強化。その一環として、飛沫感染を防ぐ目的で予防的マスク対策を導入した(表1)。

表1 サージカルマスク装着(道後温泉病院感染対策委員会の「インフルエンザ感染症について」から抜粋

【サージカルマスク装着の対象と意義】
・インフルエンザ感染様式は飛沫感染であることから流行時期は原則として職員に食事時以外のサージカルマスクの着用を義務づける
・入院患者においても、エレベーター塔乗時などに外部者から感染を受ける危険性や、院内での患者間の感染伝播を防ぐ目的で、離床時には原則としてサージカルマスク着用を義務づける
・外来患者に近距離で接することが多い部署(外来・リハビリテーション科・放射線科・生理検査科・売店・受付など)においては、自らが媒介源とならぬように留意すべきである
・面会者や業者などに対しても、1階でのサージカルマスク装着の協力が得られるように働きかける
【サージカルマスクの設置場所】
・1階2階エレベーター前
・1階3階受付
・各病棟ロビー
・各更衣室
【サージカルマスク装着期間】
・流行時期に準ずるが、例年、入院患者の正月外泊時期を機会とした感染を考慮して、12月末から流行時期が過ぎるまでを装着期間とする
※感染対策委員会からの指示時期に従い装着する

 具体的には、地域でのインフルエンザ流行開始前の12月末から地域流行の収束までの間、職員や患者らもサージカルマスクを着用している。職員については、食事時以外の着用を義務づけている。また、入院患者には、離床時にサージカルマスクの着用を義務づけている。これは、エレベーター塔乗時などに来院者から感染する危険性があることや、院内での患者間の感染伝播を防ぐためだ。

 一方、面会者や業者など来院者に対しても、1階でのサージカルマスク装着の協力が得られるように働きかけている。

 こうした取り組みの結果、入院患者のインフルエンザ発症件数は2003年度0人、2004年度3人、2005年度1人、2006年度7人と、すべて単発で終了しており、「集団発生はみられていない」(大西氏)という。

 なお、対象期間外に院内でインフルエンザの患者が確認された場合も、「予防的マスク対策」をとっている。2007年度までの5シーズンで、2回、対象期間外にインフルエンザの患者が1人ずつ発生したが、緊急の予防的マスク対策によって、二次感染の発生を防げたという。

 大西氏は、「予防的マスク対策は、コスト的にも導入可能な方法であり、アウトブレークの防止・途絶に有効である」とし、「費用対効果的にも効率的なインフルエンザ対策と考えられる」と結論した(図1)。ちなみに道後温泉病院で使っているサージカルマスクは1枚5円で、月に約480人分(入院200人/日、来院60人/日、職員212人)を用意している。

三和護=日経メディカル別冊

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