札幌市乳幼児園医協議会(飯塚進会長)の小笠原由法氏(札幌市・ポプラ小児科医院院長)

 乳幼児に対するインフルエンザワクチンの有効性は、成人より低いものの、感染後の発症率と発症後の重症化率を下げることが期待できるとされている。さらに、保育園児、幼稚園児への接種は、園内での感染伝播を予防または抑制するという意味でも重要と考えられ、推進が望まれる。インフルエンザワクチンを含め、園児へのワクチン接種勧奨に際しては、園医の役割が非常に大きいが、実際に園医はワクチン接種の必要性や勧奨についてどのように考えているのか――。

 札幌市乳幼児園医協議会(飯塚進会長)の小笠原由法氏(札幌市・ポプラ小児科医院院長)らは、札幌市の園医132人にアンケート調査を実施。ワクチン全般の接種に関する園医と園の認識が「おおよそ一致している」との回答は40%を下回り、園医側から園へのワクチン接種勧奨が必要と考えている園医が約70%認められたことを、第19回日本保育園保健学会(9月28〜29日、開催地:札幌市)で報告した。インフルエンザワクチンの必要性に関しては、園医の約40%が「絶対必要」、約60%が「どちらかというと必要」と回答したという。

 小笠原氏によると、2012年度に行った同協議会の研究で、ワクチン接種に関する保育園の現状把握、接種勧奨はまだ十分とは言えないという現状が浮かび上がった。原因の1つとして「予防接種の必要性、有効性および安全性に対する園側の理解が必ずしも十分ではないことも考えられた」。「園側に十分理解してもらい、保護者に対して接種勧奨をさらに進めてもらうためには、医療の専門家としての園医の役割は重要」と考え、今回、保育園におけるインフルエンザワクチンをはじめとするワクチン接種およびその勧奨について、園医がどのように考えているかを調べた。

 札幌市の認可保育園で園医業務を行っている医師132人に対してアンケート調査を行い、68人(52%)より得られた回答を分析した。専門領域は、小児科72%、内科22%など。園医業務を行っている施設は、保育園のみが63%、保育園・幼稚園が37%だった。

 園医検診は、回答したすべての園医が行っていた。検診の頻度は、保育園では平均年12回だったが、幼稚園では年1〜2回という回答がほとんどだった。園での業務内容としては、検診のほか、約50%の園医が流行性疾患対策、約20%の園医が職員の健康相談を行っていた。

 VPC(Vaccine Preventable Diseases)という言葉を知っている園医は85%を占めた。園児のワクチン接種状況については、「良く把握している」は4%、「おおよそ把握している」も35%と少なく、「ほとんど知らない」が57%と半数を超えた。ワクチン接種に関する園からの相談は、「良くある」7%、「時々ある」37%で、「めったにない」「一度もない」という回答がそれぞれ37%、19%認められた。

 ワクチンの必要性に関する園医の認識は、「絶対必要」という回答が、MR、DPT、ポリオ不活化、肺炎球菌、ヒブ、水痘などの各ワクチンで70%を超えた。インフルエンザワクチンでは「絶対必要」が日本脳炎ワクチンなどと同等の約40%に留まり、残りの約60%は「どちらかというと必要」という回答だった。

 園医と園のワクチン全般の接種に関する認識は、「おおよそ一致している」が37%に留まり、「一致していない」は7%で、「分からない」が49%と約半数見られた。認識一致の回答が少なかったのは、ワクチン接種に関する園からの相談が少ないことと関連している可能性がうかがえた。

 さらに、園医側から園への接種勧奨については、「必要」が71%と多数を占め、「必要ない」は4%に過ぎなかった。「必要」と回答した園医に「望ましい接種勧奨方法は?」と尋ねると、一番多かったのが「園医側から積極的に勧奨する」。次いで「検診の機会を利用する」「乳幼児園医協議会などで講習会を行ってほしい」などの回答だった。

 小笠原氏は「約7割の園医が積極的なワクチン接種勧奨が必要と考えていたが、時間的な制約のあるなかで、どのように効果的に勧奨を進めていくべきか、今後の検討課題と思われる」と述べた。