表3 接種した理由

 インフルエンザの予防接種をした人の理由は、インフルエンザの発症予防とインフルエンザの重症化の予防の2つが多くを占めました。前述の通りインフルエンザの予防接種の効果には限界があるため、正しい情報を知ってもらうことが大切ではないかと考えられます。

なぜ、接種しなかったのか?
 接種しなかった理由としては多い順に、「医療機関に行く時間がなかったから」(27%)、「自分はインフルエンザに感染しないと思うから」(24%)、「予防接種を受けるための経済的余裕がなかったから」(22%)、「インフルエンザの予防接種の効果を信じていないから」(21%)となりました(表4)。

表4 接種しなかった理由

 男性は20代から50代までは「医療機関に行く時間がなかったから」と回答する割合が高く、60代では「自分はインフルエンザに感染しないから」と回答する割合が高率でした。

 女性では、20代は「医療機関に行く理由がなかったから」が一番多く(34%)、30代40代では「予防接種のための経済的余裕がなかったから」(30代;35%、40代;29%)、50代は「予防接種によっておこる副反応が心配だから」(23%)、60代は「予防接種の効果を信じていないから」(31%)が、それぞれの年代で最多だった。

 医療機関に行く時間がないというのは、生活において時間を確保するだけの優先度を感じるにいたらないという背景があるかもしれません。会社でインフルエンザ予防接種を集団で接種するといった機会の提供は対策の1つかもしれません。

 また、60代の男性は、「自分がインフルエンザに感染しないと思うから」「インフルエンザに感染しても重症にならないと思うから」といった理由が目立ちました。長年の経験として感染しないという認識があるのだと思われますが、年齢に伴い感染した場合の重症化リスクが上がるため、インフルエンザに関する正しい情報を伝え、理解してもらうことが大事だと考えます。

 50代60代女性は「副反応の心配」が多かったです。母として自分の子供たちが予防接種を受けた際に、例えば1994年に学童に対するインフルエンザ予防接種の集団接種が中止される、1990年代には予防接種の副反応に関する裁判があり社会的な問題となる、など予防接種について悩まされた経験が背景にある可能性があります。この年代の女性はインフルエンザ予防接種にそのようなネガティブな印象を持ち続けているのではないかと推測されます。

 こうしたことを考慮しながら、働く世代のワクチン接種者の増加につなげる検討が必要です。

■参考文献
Iwasa, Wada K. Reasons for and against receiving influenza vaccination in a working age population in Japan: a national cross-sectional study. BMC Public Health2013:13;647