川崎市医師会保育園医部会長の中島夏樹氏(川崎市・中島医院院長)

 2012/13年シーズンにおける保育園児インフルエンザ罹患率は17.1%で例年より低く、ワクチン(2回接種)の有効率はA型38.5%、B型48.2%と例年より高かったことが示された。川崎市医師会保育園医部会が同市の保育園児約1万2000人の保護者を対象に行ったアンケート調査の成果で、同部会長の中島夏樹氏(川崎市・中島医院院長)が、第19回日本保育園保健学会(9月28〜29日、開催地:札幌市)で報告した。罹患率低下、有効率向上には、2011年秋より、特に3歳以上の小児に対するワクチン接種量が大幅に増やされたことが寄与している可能性を示唆した。

 川崎市医師会保育園医部会は毎年春に、川崎市の公立保育園全園児の保護者に対して、インフルエンザワクチン接種やインフルエンザ罹患などに関するアンケート調査を行ってきた。今回は、一部の民営保育園の園児も含め、同様の調査を実施した。

 2013年3月18日からの1週間で、川崎市の全公立保育園園児6288人および一部民営保育園園児5591人、計1万1879人の保護者に対してアンケート調査票を配布。2012年10月以降における園児のインフルエンザ罹患の有無、迅速診断の有無と結果、インフルエンザワクチン接種の有無と回数、罹患時の治療内容などについて尋ねた。

 9797人(82.5%)より得られた回答を集計した結果、まずインフルエンザに罹患した園児は17.1%で、2011/12年シーズンの罹患率34.1%の約2分の1に留まった。例年の20〜25%に比べても低かった。また、罹患率は例年、3歳以上よりも4歳以上で明らかに高いが、2012/13年シーズンはほとんど差が見られなかった。

 迅速診断は、罹患した園児の94.9%が受けていた。結果はA型が罹患者の83.8%、B型が6.5%だった。

 ワクチン接種は71.8%(2回接種64.8%、1回接種7.0%)の園児が受けていた。ワクチン接種の有無別、回数別に見た罹患率は、未接種群ではA型19.7%、B型1.6%だったのに対して、1回接種群ではA型13.2%、B型1.6%、2回接種群ではA型12.1%、B型は0.9%と、ワクチン接種を受けた園児、特に2回接種の園児で低いことが分かった。A型では未接種群と1回接種群、2回接種群との間で、B型では未接種群と2回接種群との間で、それぞれ有意差が認められた(P<0.001)。

 以上のデータから算出した2012/13年シーズンのワクチン有効率は、A型の1回接種群で32.7%、2回接種群で38.6%、B型の1回接種群で2.4%、2回接種群で48.2%。特に2回接種群では、A型、B型とも高い有効率が得られた。2回接種群の有効率がA型29.6%、B型21.2%であった2011/12年シーズンに比べて明らかに高く、例年の有効率に比べてもやや高かった。

 2回接種群のA型インフルエンザに対する年齢別有効率を見ると、最も高かったのは3歳児の50.0%、最も低かったのは5歳児の28.2%。1〜3歳児の有効率が4〜6歳児に比べて高いのは例年と同様だったが、いずれの年齢層の有効率も例年に比べると高い傾向が認められた。

 インフルエンザワクチンの1回接種量は2011年秋に、米国などの基準と統一された。保育園児の場合、従来は1歳未満0.1mL、1〜5歳0.2mLだったのが、6カ月〜2歳0.25mL、3歳以上0.5mLにそれぞれ増量された。このことから、中島氏は、2012/13年シーズンのワクチン有効率が高かった理由について「特に0.2mLから0.5mLへと大幅に増量された3歳以上の児でワクチンの有効性が高まったことによる可能性が考えられる」と推測した。

 なお、中島氏らは今回、登園停止期間の延長に関する意識調査も行った。2012年4月の学校保健安全法施行規則の一部改正で、出席(登園)停止期間は従来の解熱後2日間から、小中高校や大学で「発症後5日経過し、かつ解熱後2日間」、幼稚園などでは「発症後5日経過し、かつ解熱後3日間」に変更された。この延長について「困る」と回答した保護者は約30%で、「歓迎する」とした保護者の約25%をやや上回った。ただし、未罹患児の保護者のなかでは「歓迎する」が若干高率だった。

北海道保育園保健協議会の吾田富士子氏(藤女子大学人間生活学部保育学科准教授)

 同学会ではさらに、北海道の全認可保育園を対象に、各種感染症に対する保育園の認識や対応を調査した北海道保育園保健協議会の吾田富士子氏(藤女子大学人間生活学部保育学科准教授)が、登園停止期間の遵守状況などについて報告。インフルエンザの場合「登園停止期間は守られている」と答えた保育園は54.9%に留まったことを明らかにした。

 登園停止期間の変更やその意義が、保護者にいまだ十分に浸透、理解されていない状況が浮き彫りになった。さらなる周知徹底が望まれる。