公費助成によりインフルエンザワクチンの接種率が高くなり、それがインフルエンザ発病率の低さあるいは学級閉鎖の減少に貢献していることが示された。北海道網走斜網地区の小中学校を対象に検討した結果、明らかになったもの。JA北海道厚生連網走厚生病院の立花幸晃氏らが、11月17、18日に横浜で開催された第16回日本ワクチン学会学術集会で発表した。

 対象は斜網地区のA市およびB町の小中学校在籍児童・生徒の3972人(A市;3035人、B町;937人)。調査期間は、斜網地区の流行期間にあわせ20121月1日から3月31日とした。ワクチンの接種状況は、A市については市あるいは本人や保護者への聞き取り調査で把握し(回答率86.1%)、接種率(接種者/在籍者)を求めた。B町については、小児へのインフルエンザワクチン接種費用の助成を行っていることから、医療機関からの接種報告に基づき接種状況を把握した。

 インフルエンザの罹患状況については、A市、B町とも、学校から報告されるインフルエンザ様疾患による出席停止者をインフルエンザ罹患者とし罹患率を求めた。

 調査の結果、ワクチン接種者数は、A市が1182人(45%)、B町が641人(68.4%)で、公費助成のあるB町の方が高率だった。インフルエンザの罹患者数は、A市が796人(26.2%)、B町が85人(9.1%)で、B町で低くなっていた。

 また、小中学校別でみたところ、A市小学生(2036人)のワクチン接種率は46%でインフルエンザ罹患率は30.8%だった。中学生(999人)では42%と16.9%だった。一方のB町では、小学生(606人)で71.5%と7.4%、中学生(331人)で63.8%と12.0%だった。

 学級閉鎖の状況は、A市の小学校で閉鎖回数が43回、閉鎖合計日数が157日間、中学校で7回、23日間だったのに対し、B町では、小学校が5回、25日間、中学校が3回、17日間だった。

 これらの結果から演者らは、「A市との比較した場合、ワクチン接種の公費助成をしているB町の小中学校のワクチン接種率が68%と高かったことは、インフルエンザの発病率(9%)あるいは学級閉鎖の軽減の一因になった」と考察した。なお、中学3年生の発病率がA市で6%、B町で7%と低かったが、この点については、比較的ワクチン接種率が高かったこと(A市で60%、B町で64%)や、高校受験を控えていたことから予防意識の高さがインフルエンザ罹患の抑制につながったのではないかとの見方を示している。

 最後に演者らは、学校における児童生徒のインフルエンザ罹患を抑制するためには、ワクチン接種率の向上を基本とした感染予防意識の啓蒙・啓発が重要と考えられるとまとめた。