国立感染症研究所は12月7日、インフルエンザ感受性調査の結果(速報第1報)を発表した。全体ではB型(山形系統)が調査した株の中で最も低い抗体保有率(35.0%)だった。特に10歳未満および55歳以上の各年齢群は25%未満と比較的低い水準だった。ワクチン株に対する抗体保有率が低かった年齢層について感染研は、コメントの中で「本格的な流行シーズンが始まる前にワクチン接種等の予防対策を行うことが望まれる」と求めている。

 インフルエンザ感受性調査は、インフルエンザに対する国民の抗体保有状況を把握し、抗体保有率が低い年齢層に対してワクチン接種の注意喚起を行うとともに今後のインフルエンザ対策に生かしていくことを目的に毎年行われている。

 今回の調査対象となったウイルス株は、以下の4種類。このうち1〜3は、今シーズンのワクチン株に採用されたもの。4のB型(ビクトリア系統)は、最近、B型(山形系統)と並行して流行がみられたことから調査対象になっている。

1) A/California(カリフォルニア)/7/2009 [A(H1N1)pdm09亜型]
2) A/Victoria(ビクトリア)/361/2011 [A(H3N2)亜型]
3) B/Wisconsin(ウィスコンシン)/1/2010 [B型(山形系統)]
4) B/Brisbane(ブリスベン)/60/2008 [B型(ビクトリア系統)] 


 調査では、25都道府県から各198人の計4950人を対象とした。5歳ごとの年齢群別対象者数は、0〜4歳群が619人、5〜9歳群が393人、10〜14歳群が409人、15〜19歳群が369人、20〜24歳群が412人、25〜29歳群が445人、30〜34歳群が409人、35〜39歳群が405人、40〜44歳群が371人、45〜49歳群が304人、50〜54歳群が265人、55〜59歳群が212人、60〜64歳群が175人、65〜69歳群が80人、70歳以上群が87人だった。

 インフルエンザウイルスに対する抗体の有無および抗体価の測定は、対象者から採取された血液(血清)を用い、都道府県衛生研究所において赤血球凝集抑制試験(HI法)により実施された。採血時期は2012年7〜9月(インフルエンザの流行シーズン前かつワクチン接種前)。なお、今回の発表における抗体保有率は、感染リスクを50%に抑える目安と考えられているHI抗体価1:40以上の抗体保有率を示している。数字の評価は、抗体保有率が60%以上を「高い」、40%以上60%未満を「比較的高い」、25%以上40%未満を「中程度」、10%以上25%未満を「比較的低い」、5%以上10%未満を「低い」、5%未満を「極めて低い」と表している。

 調査の結果、A/California(カリフォルニア)/7/2009 [A(H1N1)pdm09亜型]については、全体の抗体保有率は53.1%であり、調査株中最も高かった。

 0〜4歳群および55歳以上の各年齢群で中程度の抗体保有率(26〜36%)だったが、それ以外の年齢群は比較的高い〜高い抗体保有率(45〜81%)を示した。

 A/Victoria(ビクトリア)/361/2011 [A(H3N2)亜型]については、全体の抗体保有率は調査株中2番目に低かった(42.8%)。

 年齢群別では5〜44歳の各年齢群および70歳以上群は比較的高い抗体保有率(41〜57%)だった。しかし、それ以外の年齢群は中程度以下の抗体保有率(23〜36%)であり、特に0〜4歳群と65〜69歳群は23%で比較的低い抗体保有率だった。

 B/Wisconsin(ウィスコンシン)/1/2010 [B型(山形系統)]については、全体では35.0%と調査株中最も低かった。

 年齢群別では20〜24歳群をピークに15〜34歳の各年齢群のみが40%以上の抗体保有率(42〜70%)だった。それ以外の年齢群は中程度以下の抗体保有率(9〜39%)を示し、特に10歳未満および55歳以上の各年齢群は25%未満の抗体保有率(9〜24%)であり、65〜69歳群が最も低かった。

 最後のB/Brisbane(ブリスベン)/60/2008 [B型(ビクトリア系統)]については、全体の抗体保有率は調査株中2番目に高い52.5%だった。

 年齢群別では、0〜4歳群および60歳以上の各年齢群で中程度以下の抗体保有率(22〜32%)だった。それ以外の年齢群は比較的高い抗体保有率を示した。


■参考情報
インフルエンザ抗体保有状況 −2012年速報第1報− (2012年12月7日現在)