全国地方衛生研究所と国立感染症研究所が共同で実施している抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランスによると、1月6日現在、タミフル・ラピアクタ耐性A(H1N1)pdm09ウイルスが、解析対象の19%に見つかっていることが分かった。リレンザあるいはイナビルの耐性A(H1N1)pdm09ウイルスは、検出されていない(表1)。

表1 抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランスの結果(1月6日現在、感染研のデータから作成)

図1 タミフル・ラピアクタ耐性H1N1pdm09ウイルスの検出率の推移(感染研インフルエンザウイルス研究センターの調査)

 タミフル・ラピアクタ耐性H1N1pdm09ウイルスは、札幌市衛生試験所で5株中5株から、神奈川県衛生研究所で2株中1株から、それぞれ検出されたもの。検体が採取された時期は、2013年第46週が2件、47週から50週までが1件ずつで、5週連続での検出となっている。いずれの耐性ウイルスもNA蛋白にH275Y変異を持っていることが確認されている。

 感染研インフルエンザウイルス研究センターの調査によると、H1N1pdm09のタミフル・ラピアクタ耐性ウイルス検出率は2012/13シーズンも上昇したことが分かっている。NA阻害薬耐性ウイルスの検出率を調べたところ、H1N1pdm09におけるタミフル・ラピアクタ耐性ウイルスの検出率は、2008/09年シーズンが0.5%、2009/10年シーズンが1.1%、2010/11年シーズンが2.0%と、年ごとに増加する傾向が認められた。

 2011/12年シーズンは、H1N1pdm09の流行がほとんど見られず、解析株は約10株に留まり、耐性株も認められなかった。しかし、2012/13年シーズンでは、やはり解析株が73株と少なかったものの、タミフル・ラピアクタ耐性株が2株(2.7%)認められ、検出率は2010/11年シーズンに比べ、わずかながら上昇した。各シーズンで検出された耐性株はすべて、NA蛋白にH275Y耐性変異を有していたことも確認されている。一方、H1N1pdm09のリレンザ・イナビル耐性株は、5シーズンいずれにおいてもまったく認められなかった。

 わずかな上昇に留まっていたH1N1pdm09におけるタミフル・ラピアクタ耐性ウイルスの検出率は、ここにきて一挙に19%に急上昇したことになる(図1)。H1N1pdm09ウイルスの流行が見られる地域では特に、タミフル・ラピアクタ耐性ウイルスを念頭においた診療が求められることになる。

 なお、国立感染研究所がまとめている都道府県別インフルエンザウイルス分離・検出報告状況によると、1月9日現在、H1N1pdm09ウイルスが検出されたのは17都道府県に広がっている。最も多いのは大阪府からの18件で、和歌山県と神奈川県が11件で続いている(表2)。H1N1pdm09ウイルスの流行株に占める割合は27.0%と、これまでのシーズンに比べて多くなっており、耐性ウイルスの広がりと合わせ警戒が必要となっている。

表2 都道府県別インフルエンザウイルス分離・検出報告状況(1月9日現在、感染研のデータから作成)