川崎医科大学小児科学の赤池洋人氏

 ペラミビル(商品名ラピアクタ)の解熱効果は、オセルタミビル(商品名タミフル)より早く認められると考えられる臨床データが得られた。インフルエンザによる熱性けいれんと診断され入院した小児約50例で、ラピアクタとタミフルの解熱効果を比較したところ、投与開始から解熱までの解熱時間はラピアクタのほうが有意に短かったというもの。川崎医科大学小児科学の赤池洋人氏らが、第54回日本臨床ウイルス学会(6月8〜9日、開催地:倉敷市)で報告した。

 ノイラミニダーゼ(NA)阻害薬の効果は、成人よりも小児で高いと言われている。しかし、小児患者における有効性をNA阻害薬間で比較した報告は少ない。熱性けいれんなどを起こして入院した重症例でより早い効果を得たい場合には、どのNA阻害薬を選ぶのがよいのだろうか。

 一般的には、小児においても、タミフルが最も広く使用されている。特に吸入薬の使用が難しい10歳以下の小児では、その使用率はさらに高くなると推測される。しかし、タミフルを服用できない小児もいる。このような経口投与が困難、あるいは鎮静が必要な小児にも使用できるのが、点滴静注で投与するラピアクタだ。

 赤池氏らは今回、インフルエンザによる熱性けいれんと診断されて入院した小児患者で、ラピアクタとタミフルの解熱効果を後方視的に比較検討した。

 対象は、2009年10月〜2013年2月に、インフルエンザA型による熱性けいれんと診断され、川崎医科大学附属病院小児科に入院した症例のうち、タミフルを単独使用した26例とラピアクタを単独使用した25例。15分以上続く熱性けいれん重積を起こした症例は除外した。

 タミフルは4mg/kg/日を5日間投与した。ラピアクタは10mg/kg/回を15〜30分で点滴静注した。解熱の定義は、37.5℃以下が24時間以上持続した場合とした。また、解熱剤を使用せずに、37.5℃未満が6時間以上続いた後に、38℃以上の発熱が認められた場合を再発熱と定義した。

 まず、年齢を見ると、タミフル群、ラピアクタ群とも0歳から8歳まで分布した。ラピアクタ群では特に3歳以下の患者が多く、平均年齢2.6歳で、タミフル群の3.5歳よりも低年齢だったが、2群間に有意差はなかった。両薬剤の使用時期は、タミフルが2009/10年、2010/11年シーズン、ラピアクタは2010/11年以降のシーズン、特に2011/12年、2012/13年シーズンに多く使用されていた。

 入院期間の平均はタミフル群3.4日、ラピアクタ群3.5日で有意差はなかった。発熱から投与までの時間はタミフル群0.5日、ラピアクタ群0.7日で、ラピアクタ群のほうが有意に長かった(P=0.029)。しかし、投与開始から解熱までの解熱時間はタミフル群1.5日、ラピアクタ群1.0日で、ラピアクタ群のほうが有意に短かった(P=0.012)。

 経時的に解熱した患者の割合を見ると、ラピアクタ群では投与24時間後で約70%、72時間後で100%に達したが、タミフル群ではそれぞれ約25%、約75%に留まった。再発熱が認められた2峰性発熱例の割合は、タミフル群15%、ラピアクタ群12%で有意差はなかった。

 なお、ラピアクタにおいては、副作用として白血球減少などが報告されているが、今回の検討では白血球減少は認められなかった。

 以上より、赤池氏は「オセルタミビルはペラミビルよりも(発熱後)早期に投与されていたが、投与開始から解熱までの解熱時間はペラミビルのほうが有意に短かった。入院症例のように、早い解熱が求められる場合はペラミビルの使用が勧められる」と結論した。