河合直樹氏

 2012/13シーズン・インフルエンザ治療・レビュー調査の結果について、インフルエンザ診療の専門家のコメントを紹介する。今回は日本臨床内科医会インフルエンザ研究班長を務める河合直樹氏(河合医院院長、岐阜市)に読み解いてもらった。

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 2012/2013年シーズンに使用された抗インフルエンザ薬の割合(図1)は、前シーズン(図2)と比較してタミフルはあまり変わらないが、リレンザが減り、その分イナビルが増え、ラピアクタも若干増えている。診療科別では小児科は他科よりもリレンザの割合が多いが、イナビルの使用割合も増えてきている(図3)。

図1 2012/13シーズンに主として使った抗インフルエンザ薬(%、n=879)

図2 2011/12シーズンに主として使った抗インフルエンザ薬(%、n=794)

図3 診療科目別にみた2012/13シーズンに主として使った抗インフルエンザ薬(%)

 優先順位2位ではリレンザが4割強と多いが、これはタミフルを第一優先順位としている医師がタミフルを使用しにくい場合(例えば10代等)や、イナビルを第一優先としている医師が1回吸入薬のイナビルを使いにくい場合(例えば4、5歳位の小児等)などでリレンザがよく使われている可能性を示唆している。また優先順位2位ではタミフルも3割弱と多いが、これは吸入薬を第一優先としていても吸入薬の使用が困難な年代等ではタミフルが使用されている可能性が高い。またラピアクタは外来等では使用の優先度は高くないと思われた(図4)。

図4 2012/13シーズンにおいて患者全体で見た場合の抗インフルエンザ薬の使用優先順位(%、n=879)

 使用理由(図5)はリレンザとタミフルは使用実績や使いやすさが、またラピアクタやイナビルは単回使用が最大の理由として挙げられているが、イナビルは使いやすさの点でも評価が高くなってきていると思われる。また選択理由として安全性や副作用が最も気にかけられているが、この点は今のところいずれの薬剤も遜色ないと思われる(図6)。

図5 抗インフルエンザ薬の選択基準(%、n=879、複数回答。*二峰性発熱例は、いったん37.5℃未満に解熱後、24時間以降に再び37.5℃以上に発熱する症例こと。**全体タイプは、Aソ連型、A香港型、A/H1N1pdm2009、B型を指す)[クリックで拡大]

図6 抗インフルエンザ薬を選択する際に気にかける事項は(%、n=879、複数回答)

 外来における各薬剤の使用年齢は、タミフルでは10代を底としたV字型、イナビルでは10代をピークとした逆V字型になっている点は理にかなっていると考えられる。一方、入院ではラピアクタが中心で、この傾向は特に重症例で強いことも含め理解できる。

 吸入場所(図7)は依然として自宅も1/3程度あるが、特にイナビルは1回しか治療チャンスがないため、慎重に吸入を指導する必要がある。特に幼小児では吸入できたと思っても容器に薬剤が残っている場合があり、極力、医療機関か調剤薬局等で医師、薬剤師、看護師の目の前でしっかりと吸入させることが望ましい。

図7 リレンザ(初回吸入)あるいはイナビルの吸入場所(n=879)

 ラピアクタは外来でも使用し得るが、点滴場所の確保、手間等を考えると実際の使用は限られているようだ(図8)。ただ内服も吸入もできない患者は外来でも時々遭遇するので、特にそのような場合は貴重な薬剤と考えられる(図9)。麻黄湯はインフルエンザの症状改善に一定の効果が確認されており、保険適応上も使用に問題がないため、好んで使用される先生も少なくない。

図8 外来におけるラピアクタの使用経験(n=879)

図9 インフルエンザ治療における麻黄湯の使用経験(n=879)