2012/13シーズンは、どのようなインフルエンザ対策を実施したのか――。いくつかの選択肢を提示して回答者に選んでもらったところ、「マスクの利用」が78.3%、「迅速診断キットの確保」が66.7%、「患者に対するインフルエンザワクチン接種の実施」が64.6%などとなった。インフルエンザ診療Next編集が実施した「2012/13シーズン・インフルエンザ治療・レビュー調査」で明らかになった。

 調査は、2012/13シーズンを振り返り、診療方針、感染対策などの実際はどうだったのかを把握するために実施した。対象は日経メディカル オンラインの医師会員で、4月9日から4月28日までの間に、879人から回答を得た(回答者のプロフィールは文末参照)。

 調査では、医師自身のインフルエンザワクチン接種の状況について尋ねた。その結果、91.4%もの人が接種していたことが分かった(既報)。インフル対策の一環として、医師のワクチン接種を尋ねたわけだが、このほかに医療機関としてどのような対策をとったのかも質問した。

 「マスクの利用」「迅速診断キットの確保」「手指消毒剤の設置」「患者に対するインフルエンザワクチン接種の実施」「抗インフルエンザ薬の確保」など9項目を提示し、実施した対策を尋ねた。

 その結果、「マスクの利用」が78.3%で回答者の約80%に達した。これに、「迅速診断キットの確保」が66.7%、「患者に対するインフルエンザワクチン接種の実施」が64.6%、「手指消毒剤の設置」が63.5%、「抗インフルエンザ薬の確保」が56.2%で続いた(図1)。ここまでの5項目は50%を超えており、多くの医療機関でとられていた対策と考えられた。

図1 2011/12シーズンに実施したインフルエンザ対策(複数回答。n=879人)

 「院内体制の確認」は49.1%、「ハイリスク患者への説明あるいは指導」は34.7%で、予想したほどの数字ではなかった。また、「うがい薬の設置」は17.3%、「患者説明用リーフなどの提供」は16.4%だった。

 これらの選択肢以外にとった対策を具体的に記入してもらったところ、以下のような情報が得られた。

慢性呼吸器疾患(喘息、COPD、間質性肺炎など)で通院中の患者さんには必ずワクチン接種を勧めた
・一定年齢以上の受診患者にはワクチン接種を推奨した
高齢者、腎機能低下、糖尿病の患者には、必ず、インフルエンザワクチン接種を受けたかのチェックを行った
・10年前くらいより、65歳以上の年齢ほぼ全例(もちろん同意を得て)にワクチン接種を施行している
・入院患者全員にワクチン接種を行った
・ワクチン接種の啓蒙ポスター
・医療従事者へのワクチン接種を敢行
原則として派遣職員を含め、病院で働く方は全員ワクチン接種を無料で行っている

・室内の加湿
・こまめな換気

・インフルエンザ流行期には風邪症状のある方の面会自粛を要請
・風邪様症状のある見舞い客の来院制限
面会患者の制限 中学生以下を原則面会禁止

・職員の風邪症状の早期申し出の徹底
・職員に対して、インフルエンザの検査が陰性でも、症状が当てはまれば職場を休ませる
・職員・家族に感染者が出た場合には、濃厚接触者として勤務配慮などの対策実施
・職員もインフルエンザが強く疑われる場合は、たとえ検査でマイナスであってもきちんと休みをとること

・30分ごとに院内放送で、入院患者の面会制限、インフルエンザ感染防止の手指消毒、十分な休養をとること、マスク着用などのアナウンスをした
毎日のインフルエンザ患者発生状況を院内掲示板に掲載した
・院内感染予防に毎週流行状況を文書伝達
・院内教育講演
・院内のインフルエンザ感染の危険について掲示板に警告文を掲示

透析治療例では特に隔離ベッドを必要があれば用意できるようにしている
・インフルエンザコホート病床からの出入りについて、特にマスク着用・手洗いを徹底した
・病棟でのインフルエンザ患者の増加に対して、病棟の閉鎖や面会制限、罹患職員の1週間の勤務停止の対策を取った
・マスク着用を徹底し、病棟でインフルエンザが出た場合は早急に部屋移動などをした

・インフルエンザの疑いのある患者が来院した場合、一般の待合室とは別の部屋に待機してもらった
インフルエンザ疑いのある患者を一般の患者とは別の診察室で診察するようにした
・発熱外来を展開し、一般患者との接触をできるだけ避けた

・うがい、手洗いをすすめ、予防接種を行った
・外来で廉価でマスク販売

コンタクトレンズをせずにメガネの着用(目に患者からの飛沫が入りにくいから)
・自分自身は手洗いとうがいを徹底した。マスクは患者と接するときに着用した
ハイリスクの高齢者にはラピアクタで対応した。イナビルの吸入が失敗しそうな患者にはリレンザ。乳幼児はタミフルのドライシロップの方針だった(今年は子どもの患者が来なかった)
・検査キットが陰性でも、総合的に判断して薬を決めている

・病院としては感染対策委員の指導のもと、定点がある一定の数値を超えたときは院内の面会を制限、マスク着用の徹底、院内でインフルエンザ感染対策を施行していることをポスター掲載や放送でお知らせなどを行った

・食事、睡眠などの基本的な生活習慣の保持

対策をしても、廃用症候群など高齢者、免疫力低下のみられる患者に罹患が認められるのは仕方がないことだと思う。それを蔓延させないために各スタッフで努力が必要であると思う


 このほか、「患者へのインフルエンザの教育的講演を開催」や「院内体制の確認として行動計画の策定」などの意見もあり、不断の努力を重ねる医療現場の姿勢がうかがえた。

■回答者のプロフィール

・年齢;29歳以下5.2%、30〜34歳9.4%、35〜39歳13.8%、40〜44歳14.1%、45〜49歳20.5%、50〜54歳18.1%、55〜59歳11.7%、60歳以上6.9%、無回答0.2%。
・勤務形態;診療所開業14.3%、診療所勤務11.3%、病院開業0.7%、一般病院勤務60.1%、大学病院勤務11.6%、その他1.6%、無回答0.5%。
・病床数;無床24.0%、1〜19床2.2%、20〜99床6.8%、100〜199床15.5%、200〜299床9.3%、300床以上41.2%、無回答1.0%。
・専門科目;小児科11.6%、耳鼻咽喉科1.7%、眼科0.9%、一般内科38.9%、一般外科7.6%、整形外科2.7%、産婦人科2.0%、循環器内科7.7%、糖尿病・内分泌代謝内科4.1%、消化器内科3.4%、その他の科目18.9%、無回答0.3%。
・勤務先所在地;北海道・東北11.8%、関東26.2%、中部16.9%、近畿23.0%、中国・四国10.3%、九州・沖縄11.2%。