2012/13シーズンに主に使った抗インフルエンザ薬は、タミフルが55.9%で最も多かった。イナビルが30.1%、リレンザが8.9%で続いた。ラピアクタは2.8%だった。日経メディカル オンラインが4月に実施した「2012/13シーズン・インフルエンザ治療・レビュー調査」で明らかになった。

 調査は、2012/13シーズンを振り返り、診療方針、感染対策などの実際はどうだったのかを把握するために実施した。対象は日経メディカル オンラインの医師会員で、4月9日から4月28日までの間に、879人から回答を得た(回答者のプロフィールは文末参照)。

 今回は、抗インフルエンザ薬の使用状況について報告する。

 2012/13シーズンに主として使った抗インフルエンザ薬を尋ねたところ、タミフルが55.9%で最も多かった。イナビルは30.1%、リレンザが8.9%、ラピアクタは2.8%だった(図1)。2012年9月に実施した調査(図2)でも同様の順位だったが、前回との比較ではタミフルが0.5ポイント減で、イナビルは5.9ポイントの増加だった。リレンザは7.2ポイント減、ラピアクタは0.9ポイント増だった。

図1 2012/13シーズンに主として使った抗インフルエンザ薬(%、n=879)

図2 2011/12シーズンに主として使った抗インフルエンザ薬(%、n=794)

 診療科目別に2012/13シーズンに主として使った抗インフルエンザ薬をみると、小児科(n=102)では、タミフルが52.0%、イナビルが32.4%、リレンザが13.7%、ラピアクタが2.0%だった。全体との比較では、リレンザの割合が多くなっている点が特徴の1つだった(図3)。

 一方、一般内科(n=342)では、タミフルが53.5%、イナビルが37.1%、リレンザが5.0%、ラピアクタが2.6%となっていた。全体との比較では、イナビルの割合が多くなっていた。その他の科目(n=435)では、タミフルが61.4%と大半を占めていた。

図3 診療科目別にみた2012/13シーズンに主として使った抗インフルエンザ薬(%)

 調査では、2012/13シーズンに利用可能だった抗インフルエンザ薬(リレンザ、タミフル、ラピアクタ、イナビル)を提示し、それぞれについて、2012/13シーズン全体を通じての使用の優先順位についても尋ねた。

 その結果、優先順位別に見ると、優先順位1位との回答が最も多かったのは、タミフルで55.2%だった。イナビルが31.2%、リレンザが9.9%、ラピアクタが2.6%と続いた(図4)。

図4 2012/13シーズンにおいて患者全体で見た場合の抗インフルエンザ薬の使用優先順位(%、n=879)

 優先順位ごとに最も多かった薬剤を見ていくと、優先順位の1位ではタミフル、2位ではリレンザ、3位ではイナビル、4位ではラピアクタがそれぞれ最多となっていた。これは、2011/12シーズンに実施した調査(2012年9月実施)と同じような結果であった。

 薬ごとに見た場合、リレンザは、優先順位の1位が9.9%、2位が42.1%、3位が28.7%、4位が15.8%だった。タミフルは、それぞれ55.2%、29.8%、12.2%、3.0%だった。ラピアクタは、それぞれ2.6%、8.5%、25.5%、57.9%となり、イナビルはそれぞれ31.2%、18.0%、29.5%、18.1%だった。

■ 抗インフルエンザ薬の選択基準は

 それぞれの抗インフルエンザ薬の選択基準について、14項目の選択肢を提示し、当てはまるものを選択してもらった。

 その結果、リレンザは、「使用実績がある」が最も多く、「使いやすい」「副作用が少ない」「エビデンスが豊富」「全タイプに効果がある」が続いた。タミフルも「使用実績がある」が最も多く、「使いやすい」「エビデンスが豊富」がこれに続いた。ラピアクタは「1回点滴で済む」が、イナビルは「単回吸入で済む」がそれぞれ1位となった(図5)。

図5 抗インフルエンザ薬の選択基準(%、n=879、複数回答。*二峰性発熱例は、いったん37.5℃未満に解熱後、24時間以降に再び37.5℃以上に発熱する症例こと。**全体タイプは、Aソ連型、A香港型、A/H1N1pdm2009、B型を指す)[クリックで拡大]

 視点を変えて選択理由ごとに1位だった薬剤をみていくと、リレンザは「副作用が少ない」「二峰性*発熱例が少ない」の2項目で首位だった。

 タミフルは、「使いやすい」「使用実績がある」「エビデンスが豊富」「安価である」「予防投与での適応がある」「患者が希望する」「全体タイプ**に効果がある」の7項目で首位を獲得していた。

 ラピアクタは当然ながら「1回点滴で済む」に加えて、「即効性がある」の2項目で首位となった。イナビルは、「単回吸入で済む」の首位は当然だが、さらに「耐性ウイルスが生じにくい」「持続性がある」の計3項目で首位だった(*二峰性発熱例は、いったん37.5℃未満に解熱後、24時間以降に再び37.5℃以上に発熱する症例こと。**全体タイプは、Aソ連型、A香港型、A/H1N1pdm2009、B型を指す)。

■ 選択する際に気にかける点

 抗インフルエンザ薬を選択する際に気にかける点についても明らかにした。安全性、副作用、使用実績など14項目の選択肢を提示し、注目する事項を選んでもらった。

 その結果、最も多かったのは「安全性」で54.0%だった。「副作用」が42.7%で続いた。全体的に、抗インフルエンザ薬の使用には、慎重な姿勢で臨んでいることがうかがえた。また、「患者の重症度(高熱、肺炎など)」が34.7%、「耐性ウイルスの出現」が25.4%と高く、注意深い対応を目指す姿勢が現れている。ただし、いったん37.5℃未満に解熱後、24時間以降に再び37.5℃以上に発熱する症例である二峰性発熱例を挙げた人は6.6%と少なかった(図6)。

図6 抗インフルエンザ薬を選択する際に気にかける事項は(%、n=879、複数回答)

■回答者のプロフィール

・年齢;29歳以下5.2%、30〜34歳9.4%、35〜39歳13.8%、40〜44歳14.1%、45〜49歳20.5%、50〜54歳18.1%、55〜59歳11.7%、60歳以上6.9%、無回答0.2%。
・勤務形態;診療所開業14.3%、診療所勤務11.3%、病院開業0.7%、一般病院勤務60.1%、大学病院勤務11.6%、その他1.6%、無回答0.5%。
・病床数;無床24.0%、1〜19床2.2%、20〜99床6.8%、100〜199床15.5%、200〜299床9.3%、300床以上41.2%、無回答1.0%。
・専門科目;小児科11.6%、耳鼻咽喉科1.7%、眼科0.9%、一般内科38.9%、一般外科7.6%、整形外科2.7%、産婦人科2.0%、循環器内科7.7%、糖尿病・内分泌代謝内科4.1%、消化器内科3.4%、その他の科目18.9%、無回答0.3%。
・勤務先所在地;北海道・東北11.8%、関東26.2%、中部16.9%、近畿23.0%、中国・四国10.3%、九州・沖縄11.2%。