和歌山信愛女子短期大学の辻本和子氏

 撥水性素材のペットボトルのほか、ゴムやランドセルに付着させたインフルエンザウイルスは、15分以上も感染性を保っていることが明らかにされた。手指などを介した接触感染も重要な感染経路の1つだが、日常生活で触れる機会の多いこれらの素材がウイルスの伝播源になる可能性を示したものだ。和歌山信愛女子短期大学の辻本和子氏らの研究成果で、第28回日本環境感染学会総会(3月1〜2日、開催地:横浜市)で報告した。

 物品に付着したウイルスがどれほどの期間、感染性を保持しているのかを明らかにするため、辻本氏らは、小学生の日常環境をモデルとして、学童が触れることの多い材料を対象に汚染したウイルスの感染性について定量的な解析を行った。

 調査したウイルスは、A型インフルエンザウイルス(Aichi株、IAV)、単純ヘルペスウイルス(1型F株、HSV)、ポリオウイルス(セービン生ワクチン株、PV)の3種類。学童が触れることの多い素材には、ペットボトル、ゴム、ランドセル、ヒノキ材、運動場の砂、ステンレス製の取っ手を用いた。

 それぞれの材料にウイルス粒子の入った液体(2μL)を置いて汚染させ、クリーンベンチ内で放置後、経時的に回収し、感染性ウイルス量をプラック法で定量した。

 その結果、素材によって、またウイルスの種類によっても、感染性の変化に差が見られた。

 ヒノキ材では、ウイルス液は汚染直後に木材に吸収された。汚染5分後には、目視で表面は乾燥し、ウイルスの感染性(感染価)も、3種類のウイルスすべてで顕著に低下した。

 運動場の砂の場合は、汚染後直ちにウイルス液は吸収されたことが目視で確認された。IAV、HSVは15分経過後から感染価が顕著に失われたが、PVは20分経過しても高い感染価を保っていた。

 ステンレス製の取っ手では、PVは汚染後15分でも感染性を保っていた。一方、HSVは経過5分で感染価が顕著に失われた。

 ペットボトルやゴム、ランドセルを使った実験では、IAV、PVとも15分以上経過しても感染性は保持されていた。HSVでは15分後過ぎると不活化が急速に進んだ。

 これらの結果から演者らは、ペットボトルやゴム、ランドセルでウイルスが15分以上も感染価を保っていたことから、これらが小学生の集団生活における「ウイルス伝播源」となることが考えられるとまとめた。