いったん37.5℃未満に解熱後、24時間以降に再び37.5℃以上に発熱するインフルエンザ二峰性発熱例は、イナビル治療群の方が同じ吸入薬であるリレンザ治療群よりも有意に多いことが示された。2011/12シーズンに北海道内の多施設医療機関で行われた前向き観察研究で明らかになったもの。北海道大学大学院医学研究科の小関直子氏らが、11月24、25日と北九州市で開催された第44回日本小児感染症学会総会・学術集会で報告した。

 演者らは小児インフルエンザ患者を対象に、吸入剤の抗インフルエンザ薬であるイナビルとリレンザの解熱効果の違いを検討した。対象は、2012年1〜4月に北海道内の31医療機関で抗原検査によりインフルエンザと診断され、発熱後48時間以内にイナビルまたはリレンザによる治療を行った5〜18歳の患者。

 検討ではイナビル群(314例)とリレンザ群(338例)において前向き観察研究を行った。両群間に年齢、性別、ワクチン接種の有無、インフルエンザウイルスの型、発症から治療開始までの時間に有意差は認めなかった。

 検討の結果、治療開始から37.5℃未満に解熱するまでに要する時間(解熱時間)に、リレンザ群とイナビル群に有意差はなかった。

 解熱時間に影響を与える因子について、Cox回帰分析による多変量解析を行ったところ、年齢、インフルエンザウイルスの型、および性別が影響することが明らかになった。年齢は1歳下がると解熱時間は1.10倍になった(P<0.001)。また、インフルエンザのA型に比べてB型では解熱時間が1.60倍となった(P<0.001)。性別では女性に比べて男性で解熱時間が1.17倍となった(P=0.049)。

 両群比較で差が現れたのは二峰性発熱例の割合だった。リレンザ群ではA型で1.4%、B型で1.9%だったが、イナビル群ではそれぞれ7.0%、12.9%と有意に多く認められた(各P=0.005、P=0.003)。

 二峰性発熱に関与する因子を分析したところ、年齢と抗インフルエンザ薬が影響していた。年齢は1歳下がると二峰性発熱を起こす確率が1.19倍高く、またイナビルはリレンザに比べて5.80倍高いことが分かった(それぞれP=0.016、P<0.001。表1)。

 演者らは、なぜイナビル治療群で二峰性発熱例が多いのか、その機序については今後、検討していく意向だ。

表1 二峰性発熱に関与する因子(小関氏らの発表をもとに作成)