2011/2012シーズンに抗インフルエンザ薬で治療を行った患者の治療前後の鼻汁からウイルス量を測定し、薬剤感受性を調べたところ、高度の薬剤耐性を示すウイルス株は検出されなかったが、H3N2型の患者においては解熱後にも鼻汁中にウイルスが検出されたことなどが示された。11月24日から25日まで北九州市で開催された日本小児感染症学会総会・学術集会で、JA静岡厚生病院小児科診療部長の田中敏博氏らが発表した。

 現在、使用できる抗インフルエンザ薬は4種類となり、治療の選択肢が広がった。しかし、抗インフルエンザ薬で治療後のウイルスの感染力については明らかになっておらず、耐性化ウイルスの監視も必要とされる。

 そこで、静岡厚生病院小児科において迅速検査でインフルエンザと診断された小児患者を対象とし、治療前後の鼻汁吸引液をマイナス80℃で凍結保存し、シーズン後にウイルスの同定、およびウイルス量の測定を行った。

 さらに、ウイルスをプラーク法で単離し、ノイラミニダーゼ阻害薬4薬に対する感受性を調べた。

 その結果、採取された検体は39例で、H3N2Hが28人、B型が6人(解析中5人)だった。H3N2型で抗インフルエンザ薬を処方した患者17人(タミフル12人、リレンザ2人、イナビル1人、ラピアクタ2人)においては、治療後に速やかに解熱したが、その後の来院時にもほとんどの患者の鼻汁からウイルスが検出された。

 治療前に採取したH3N2ウイルス28株を用いて、NA阻害薬4剤に対する感受性を調べたところ、IC50の平均値は4剤とも1.0未満で、高度の薬剤耐性を示すウイルス株は検出されず、薬剤の種類による統計学的な有意差も見られなかった(図1)。

図1 NA阻害薬4剤に対する薬剤感受性(H3N2型、治療前28株)

 B型の症例は6人で、そのうち5人は抗インフルエンザ薬の投与を行わなかったが、第5病日には概ね解熱し、その後の来院時の鼻汁からもウイルスは検出されなかった。

 田中氏は、「抗インフルエンザ薬で治療後、H3N2型では解熱後にも、量は減少しているが多くの患者でウイルスが検出された。ただし症状の経過と、検出されるウイルス量は必ずしも単純な関係ではないので、さらなる詳細な検討が求められる。ウイルスの薬剤感受性については、2011/2012シーズンにおける今回の調査期間内では良好だったが、今後どうかは分からないので、引き続き慎重に監視していく必要があるだろう」と話した。

■訂正
 12/18に以下の訂正を行いました。
・見出しが「治療後」となっていましたが、正しくは「治療前」でしたので修正しました。