インフルエンザウイルスの特徴などを速報する国立感染研究所のホームページ

 2012/13シーズンに流行するインフルエンザウイルスは、A/H3N2、それともB型、あるいはH1N1pdm09か――。この問いに対する明確な答えはもちろんないのだが、夏場以降のウイルスの分離例や人々の抗体保有率の動向などから、ある程度の推測は可能だ。各地方衛生研究所からの報告などをもとに、大胆に予想してみると、昨シーズンに例年にない大流行となったA/H3N2型は、引き続き流行するとの懸念がある。B型は山形系統のウイルスに警戒すべきであり、H1N1pdm09ウイルスは夏以降流行が見られるアジアの国々から輸入される可能性が指摘されている。

 まずA/H3N2亜型ウイルスについては、昨シーズンの流行は学童中心だったという特徴がある。さらには、横浜市衛生研究所によると、この夏以降、高齢者や成人、就学前の小児らからウイルスが分離される事例が続いているのだという。つまり今シーズンは、より幅広い年齢層にわたって流行する懸念があるわけだ。

 昨シーズン、H3N2亜型ウイルスについては、ワクチンに採用されたウイルス株と抗原性がどれだけあっているかを調べた結果、変異株と判断されたものが45.6%と半数近くに上った。このこともあって、今シーズンはワクチン株が変更されている。

 幸いなことに、最近発表された横浜市からの報告では、今シーズンに入ってから分離されたH3N2ウイルスは、今回ワクチン株に採用されたウイルスとは抗原性が類似していることが示されている。学童に限らず、各年齢層への流行拡大が懸念されていることを考えると、今シーズンはワクチン接種がより重要となるといえそうだ。

 さきごろ東京で開催された日本感染症学会東日本地方会学術集会で講演した神奈川県けいゆう病院小児科・慶應大学医学部客員教授の菅谷憲夫氏は、昨シーズン流行したH3N2亜型がワクチン株から変異していたことを指摘。今シーズンもH3N2亜型の流行が懸念されるとし、ハイリスクの人はもちろん成人もワクチン接種をすべきだろうとの見解を示していた。ちなみに、今シーズンのワクチンは流行したH3N2ウイルスにあったものに変更されている。

 一方のB型は、これまでは隔年の流行パターンを示すことが多かった。しかし、最近はパターンが崩れてきており、今シーズンもB型の流行に警戒すべきとの指摘がある。たとえば横浜市衛生研究所などは、山形系統のB型ウイルスは、2004/05シーズン以降主流となった流行がなく、かつ、人々の間の抗体保有率も低い傾向にあるため、「ワクチン接種等の感染予防対策が必要と思われる」との見解を示している。

 最後にH1N1pdm09ウイルスだが、2012年夏以降、インド、ネパール、ラオス、タイなどのアジアでの報告が目立っており、今後の発生動向に注意が必要とされている。こうした国々とは、人々の交流も多く、流行地で感染した人が帰国あるいは入国後に発症し、感染を拡げてしまうという可能性もあるわけだ。すでに、地方衛生研究所からは、輸入事例の報告がある。

 H1N1pdm09ウイルスについては、初期のウイルスから変化したウイルスが流行する危険性も指摘されている。医療機関としては、問診などで、こうした国々への渡航歴を確認することが、H1N1pdm09ウイルスの早期警戒に欠かせないに違いない。