横浜市衛生研究所などは10月23日、2012/13シーズンに初めて分離したH1N1pdm09H3N2型B型インフルエンザウイルスについて、それぞれの特徴を国立感染研究所のホームページで報告した。それによると、懸念されているH1N1pdm09ウイルスは、今シーズンのワクチン株に対する反応性を保持しているとともに、抗インフルエンザ薬4剤に対する感受性の低下は見られなかった。

 H1N1pdm09ウイルスは2012年夏以降、インドやネパール、ラオスやタイなどと、アジアでの報告が目立っており、今後の発生動向に注意が必要とされている。今回分離されたのは、9月13日(37週)に横浜市内の医療機関から報告があった患者から採取された。タイから帰国した患者(37歳)で、インフルエンザA型と診断され、うがい液と鼻かみ検体が採取された。リアルタイムRT-PCRによる遺伝子検査でH1N1pdm09ウイルスのHA遺伝子が検出され、MDCK細胞でウイルスが分離された。横浜市衛生研究所では2シーズンぶりの分離だったという。

 HI試験による抗原解析では、H1N1pdm09ウイルスA/California/07/2009の抗血清に対するHI価は2560(ホモ価2560)を示し、ワクチン株に対する反応性が保持されていた。

 HA遺伝子解析によると、分離されたウイルスはクレード7に属していた。また、NA遺伝子解析では、ラピアクタ投与後ではあったが、耐性マーカーであるH275Yは検出されなかった。国立感染研究所インフルエンザウイルス研究センターにおける検査では、分離株は、タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビルの4剤に対する感受性の低下はみられなかったという。

 あわせてH3N2型ウイルスの集団感染事例、B型(山形系統)の散発事例から採取・分離したウイルスについても、検討結果を報告している。

 H3N2型ウイルスは、9月7日(36週)に横浜市内の福祉施設で発生したインフルエンザ集団感染(迅速診断キットA陽性患者19人;入所者11人、職員8人)と9月11日(37週)に横浜市内の保育園で発生したインフルエンザ集団感染(患者13人)の患者から採取・分離された。2つの事例とも、患者には海外渡航歴や沖縄県への滞在歴はなかったという。

 HI試験による抗原解析を実施したところ、0.75%モルモット赤血球を用いたH3N2型A/Victoria/361/2011(2012/13シーズンワクチン株)の抗血清に対するHI価は1280(ホモ価2560)だった。

 HA遺伝子について遺伝子系統樹解析を行った結果、ワクチン株のA/Victoria/361/2011と同じVictoria/208クレードのサブクレード3Cに属していた。またNA遺伝子には、薬剤耐性に関与することが報告されている変異部位アミノ酸置換は確認されず、感染研で実施した分離株の薬剤感受性試験において感受性の低下はみられなかった。

 B型ウイルスについては、10月10日(41週)に横浜市内の医療機関でインフルエンザB型と診断された患者(91歳)から採取された。B型山形系統B/Wisconsin/01/2010(ワクチン株)の抗血清に対するHI価は320(ホモ価1280)だった。

■参考
2012/13シーズン最初に分離されたA(H1N1)pdm09、A(H3N2)型およびB型インフルエンザウイルスの性状−横浜市