日本臨床内科医会インフルエンザ研究班班長の河合直樹氏(河合医院院長、岐阜市)

 タミフルリレンザラピアクタイナビルの4種類の抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)は、A型あるいはB型においてともに解熱効果に大きな差が見られなかったことが示された。ただ、B型ではリレンザがやや良い傾向があることも報告された。2011/12シーズンにおける抗インフルエンザ薬の有用性の検討で明らかになったもので、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班班長の河合直樹氏(河合医院院長、岐阜市)が、10月7、8日と徳島で開催された日本臨床内科医学会で発表した。

 同研究班は、2011/2012年シーズンにおいても、日本臨床内科医会の会員に協力を呼び掛け、インフルエンザ症例の登録研究を行った。

 登録症例は1300例あまりで、分析の結果、2011/2012年シーズンのインフルエンザの流行は季節性パターンを呈し、A型(H3N2)とB型の混合流行であった。A/H1N1pdm09は1例の報告もなかった。特徴的だったのは、A/H3N2の発症者が、「近年になく成人あるいは高齢者にも広く見られた」点だった。この点について河合氏は、「A/H3N2は、この1、2年連続変異が進んでいる可能性がある」と指摘。2012/2013年シーズンのワクチン株の入れ替えがH3N2亜型においても行われた点に期待したいと語った。

 登録研究では、4種類のノイラミニダーゼ阻害薬の有用性についても検討している。2011/2012年シーズンにおいて迅速診断キットでA型あるいはB型と診断された登録症例は、1343例だった。年齢層別に使われた抗インフルエンザ薬をみると、0-4歳ではタミフルが96%、5-9歳ではタミフルが58%、リレンザが31%、10-19歳ではリレンザが56%、イナビルが34%、20-59歳ではタミフルが42%、イナビルが33%、60歳以上ではタミフルが53%、イナビルが24%などとなっていた(図1)。

図1 年齢層別にみた抗インフルエンザ薬の使用割合(2011/2012年シーズンにおいて迅速診断キットでA型あるいはB型と診断された登録症例。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班)

 これらの症例のうち培養で診断が確定した症例について、抗インフルエンザ薬の投与から解熱までの時間を調べたところ、以下のような結果となった。A/H3N2では、タミフルが27.7±14.3時間(80例)、リレンザが27.5±18.8時間(71例)、イナビルが28.1±16.0時間(101例)、ラピアクタが27.7±30.1時間(9例)だった。またB型については、タミフルが37.8±27.5時間(25例)、リレンザが31.6±17.9時間(28例)、イナビルが38.5±23.7時間(24例)だった(図2)。なお、ラピアクタは症例が少なく B型については解析外とした。

図2 抗インフルエンザ薬別にみた解熱時間(培養で診断が確定した症例。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班)

 これらの結果をもとに研究班は、「4種類のノイラミニダーゼ阻害薬はA型、B型ともに効果に大きな差は見られなかった」と結論。ただし、B型にあっては「リレンザがやや良い傾向を示した」とまとめた。