働き盛りの糖尿病患者は、同じ年代の非糖尿病成人と比較して、インフルエンザ起因の入院が多い――。カナダ・マニトバの集団コホート研究で明らかになったもので、糖尿病患者はハイリスクでワクチン接種の必要性が高いとする現ガイドラインを支持する結果である。10月1日から5日までドイツ・ベルリンで開催された第48回欧州糖尿病学会(EASD2012)で、カナダUniversity of AlbertaのLau D.氏が報告した。

 ガイドラインでは、糖尿病成人に対して、季節性インフルエンザ予防のための年1回のワクチン接種を推奨している。65歳以上の高齢者では、糖尿病の有無にかかわらず接種が推奨されており、ガイドラインは、働き盛り(65歳未満)の糖尿病患者が、インフルエンザ感染高リスクであることを指摘するものとも言える。しかしこれまで、このことを支持するエビデンスは限られていた。

 Lau氏らは、2000年7月1日から2008年6月30日までのカナダ・マニトバ州の健康保険データベースから、成人糖尿病患者と、対照として、患者1人に対して年齢、性別、保険加入地域を合わせた非糖尿病成人2人を登録。インフルエンザ様症状での来院あるいは入院(ILI群)、肺炎、インフルエンザによる入院(PI群)、すべての原因による入院(ALL群)の頻度を調査。交絡因子を補正した後の罹患数が、オフシーズンと比較して、インフルエンザシーズン中に、どの程度増加するかを検討した。
 
 交絡因子は、年齢、性別、ワクチン接種の有無、SES(社会経済的地位:近隣の収入、住居)、受診歴、生産効率の指標(ADG数)などとした。

 登録されたのは、糖尿病患者9万5624例(うち65歳未満5万6513人、62%)と、背景を合わせた健常対照者16万9965人。糖尿病患者ではインフルエンザ感染が、インフルエンザシーズンにおけるアウトカムの相当部分に寄与しており、65歳未満では、ALL群が6%高率(HR:1.06、95%CI 1.02-1.10)、高齢患者では、ILI群が3%高率(HR:1.03、95%CI 1.01- 1.05 )だった。また1イベント予防のためにワクチンを要する人数(NNV)は、PI群とALL群で、年齢を問わず、糖尿病患者で低値だった。

 Lau氏は本研究の限界として、潜在的生態学的錯誤(例えばRSウイルス[respiratory syncytial virus:RSV]や、医学的に問題とされないインフルエンザ)があることを断った上で、働き盛りの糖尿病患者は、同じ年代の非糖尿病成人と比較して、インフルエンザに起因する入院が多かったことを強調。「この結果は、糖尿病を高リスクととらえて、よりワクチン接種の必要性が高いとする現ガイドラインを支持するものである」と結論づけた。