横浜で開かれた日本外来小児科学会

 インフルエンザ流行期に、咽頭痛を訴える患者において溶連菌感染症がどの程度関与しているかを調べた結果、扁桃の腫脹・浸出物、前頸部リンパ節腫脹・圧痛を認めた場合には溶連菌感染を疑う必要があるとの報告があった。順天堂大学医学部小児科の鈴木光幸氏と時田げんきクリニック(静岡県富士宮市)の時田章史氏らが、8月末に横浜で開催された日本外来小児科学会で発表した。

 対象は、2012年2月に37.5度以上の発熱を主訴として受診した173例。インフルエンザ、溶連菌感染症、または両者を疑って迅速診断検査(それぞれクイックナビTM-Flu、クイックビューDipstick Strep A)を行った。患者の年齢は3〜37歳、中央値は6歳だった。

 咽頭痛を訴えた患者については、咽頭培養を行うとともに、溶連菌迅速検査(強陽性、弱陽性、陰性の3段階で判定)を実施し、さらにカナダルール(CMAL163;811-5;2000)に基づいて症状・身体所見から溶連菌感染症の確率を推定した。

 その結果、インフルエンザA型陽性例(97例)では、咽頭痛ありが14例、なしが83例だった。咽頭痛ありのうち、溶連菌迅速検査の結果は強陽性が9例、弱陽性が4例、陰性が1例だった。この強陽性9例中、咽頭培養で溶連菌感染が確認されたのは4例だった。

 インフルエンザB型陽性例(35例)では、咽頭痛ありが3例、なしが32例だった。同じく咽頭痛ありの患者のうち、溶連菌迅速検査の結果は3例ともに0例だった。

 一方、インフルエンザ陰性例(41例)においては、咽頭痛ありが14例、なしが27例だった。咽頭痛ありの患者において、溶連菌迅速検査の結果は強陽性が8例、弱陽性が3例、陰性が3例だった。強陽性の8例は咽頭培養で全例溶連菌感染症が確認されたが、弱陽性3例は咽頭培養陰性だった。

 結局、インフルエンザA型陽性例では咽頭痛を訴えた14例中4例(28.6%)が、インフルエンザ陰性例では咽頭痛を訴えた14例中8例(57.1%)が、それぞれ溶連菌感染症という結果となった。

 これらの結果から演者らは、「インフルエンザ感染者で咽頭痛を訴える患者の一部には、溶連菌感染症が関与しており、臨床像からも溶連菌感染症を疑うことができた」と結論した。ただ、インフルエンザ感染者の溶連菌迅速検査には偽陽性例が存在することから、その診断には注意が必要であると指摘した。また、インフルエンザの流行期は、溶連菌感染症の流行期と重なることから、「咽頭痛を訴える非インフルエンザ患者には溶連菌感染症を鑑別する必要がある」と考察した。

 今回の成果をもとに演者らは、「冬季のインフルエンザ流行期の多忙な診療においては、インフルエンザ迅速検査キットがその診断に役立っているが、溶連菌感染症などの細菌感染症の存在も常に念頭において診察する必要がある」と強調した。