イナビルを処方された患者55人を対象に、インチェックによる最大吸気流速PIF)とイナビル吸入器内の残量を調査したところ、十分量のイナビル吸入には最低でもPIF90L/分以上が必要であることが報告された。あい薬局(広島県東広島市)の吉田雄樹氏らが、8月24日から26日まで横浜で開催された日本外来小児科学会で発表した。

 抗インフルエンザ薬のイナビルは、一度の吸入指導で正しく吸入できることが求められる。しかし、うまく吸えているかどうかについては吸入指導の現場で視覚的に判断できず、十分に吸入できていない患者を把握できないでいた。

 そこで演者らは、吸入指導時のPIFの目安を明らかにするため、イナビル吸入前にインチェック(アダプターなし)を使用してPIFを測定し、同時にイナビル吸入器内の残量を調べた。

 対象は、2012年2月10日から4月13日までに、A型あるいはB型インフルエンザウイルスに感染し、イナビルを処方された患者55人(男性29人、年齢4歳9カ月〜15歳9カ月、4〜6歳19人、7〜9歳18人、10〜15歳18人)。全員がイナビル吸入確認用の笛で、吸入可能な吸気流速があると確認された患者だった。

 まずイナビルの残量については、残量率30%以上が8人(14.6%)、20〜30%未満が8人(14.6%)、10〜20%未満が16人(29.1%)、10%未満が23人(41.8%)だった。

 残量率との関連性はPIFが最も強く、上記の各群のPIF(平均±SD)は、30%以上群が60.0±21.9L/分、20〜30%未満が86.9±29.4L/分、10〜20%未満が93.1±26.0L/分、10%未満が137±47.7L/分だった。

インチェックの1例(上が今回の検討で使用したアダプターなしのインチェック。吉田氏らの発表から)

 残量率20%以上を「吸入力不十分」とした場合、16人が該当した。残量率20%未満の39人と比較したところ、吸入力不十分群は、女児が多く、イナビル投与24時間後の熱の下がり方も悪い傾向が見られた

 演者らは、今回の対象患者は全員、イナビル吸入確認用の笛で吸入可能な吸気流速があると確認された患者だったにも関わらず、16人(29%)が吸入力不十分と判断されたことを重視。「吸入指導の現場では、インチェックによる確認が、吸入力不十分例の把握に有用であった」と結論付けた。また、インチェックにより吸入力不十分と判断された患者については、今後、医師への疑義解釈などの対応を検討していくべきなどと指摘した。