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EBM:TOPICS

2009/9/8

FISIC

イミダプリルは高血圧患者のインスリン抵抗性と線溶能をカンデサルタンよりも改善する

Fibrinolysis and Insulin Sensitivity in Imidapril and Candesartan recipient

関連ジャンル:
高血圧
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 日本の市場ではアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)の勢いに押されがちなアンジオテンシン変換酵素阻害薬ACE阻害薬)だが、BPLTTC(Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration )で、冠動脈イベント抑制に関してはACE阻害薬にのみ「降圧を超えた効果」が示されている。今回の第31回欧州心臓学会(ESC2009)においても、ACE阻害薬イミダプリルには、ARBのカンデサルタンにはないインスリン抵抗性の改善効果と線溶能改善効果が認められたことがイタリア・Pavia大学教授のRoberto Fogari氏らによって報告された。


エンドポイントはインスリン感受性と線溶系因子の変化

 レニン・アンジオテンシン系RAS)は、血圧のみならずインスリン抵抗性や線溶系の制御においても重要な役割を演じている。しかし、RAS抑制薬がインスリン抵抗性や線溶系に及ぼす影響については、相反する結果が報告されてきた。

 そこでFogari氏らは、インスリン感受性の指標(GIR)と線溶系因子(PAI-1t-PA)の変化をエンドポイントとし、ACE阻害薬イミダプリルとARBカンデサルタンのPROBE試験「FISIC」(Fibrinolysis and Insulin Sensitivity in Imidapril and Candesartan recipient)スタディを実施した。

 対象は、高血圧以外に1つ以上の心血管疾患(CVD)危険因子を有する軽症〜中等症の成人高血圧患者61例である。ただし、肥満者ではRASの亢進が予想されるため、BMIの組み入れ基準は25(kg/m2)以下とした。また、腎機能低下例(CCr<80mL/min)や高コレステロール血症患者、糖尿病患者、6カ月以内に心筋梗塞(MI)または脳卒中の既往がある患者なども除外された。

 患者の平均年齢は53歳、男性32例、女性29例。血圧平均値は148/98mmHg、平均BMIは24kg/m2であり、高血圧以外の危険因子の内訳は、喫煙17例、左室肥大(LVH)7例、高齢男性(56歳以上)18例、CVDの家族歴20例、頸動脈内膜中膜(IMT)肥厚(0.9mm以上) 7例であった。

 Fogari氏らは、これらの患者を2週間のウォッシュアウト期間後に無作為化し、イミダプリル5〜20mg/日(イミダプリル群、n=30)またはカンデサルタン8〜32mg/日(カンデサルタン群、n=31)による12週間の治療を行い、血圧およびPAI-1、t-PAの推移を追跡した。また、0週と12週には、正常血糖高インスリンクランプ法でインスリン感受性を測定した。

イミダプリルはインスリン抵抗性と線溶能をともに改善

 12週間の治療により、イミダプリル群とカンデサルタン群では、ベースラインに対して同等かつ有意な降圧が認められた(ともにp<0.001)。

 また、空腹時血糖とインスリン値は、両群とも不変であった。しかし、グルコースクランプ下での糖注入率GIR:インスリン感受性の指標)は、カンデサルタン群では不変であったのに対し、イミダプリル群では、対ベースライン時、およびカンデサルタン群との比較で、ともに有意な上昇が認められた(いずれもp<0.01、図1)。

図1 正常血糖高インスリンクランプ下での糖注入率(GIR)の推移

 また、血中PAI-1値は、両群ともに治療開始から1週間で有意に低下した(ともにp<0.05、vs.ベースライン時)が、カンデサルタン群のPAI-1値は週を経るごとに漸増し、8週後には元のレベルに戻り、12週後にはベースライン時を有意に超える高値となった(p<0.05 vs.ベースライン時)。これに対し、イミダプリル群では当初のPAI-1低下が全期間を通して維持されていた(p<0.05 vs. ベースライン時、p<0.05 vs. カンデサルタン群、図2)。

図2 血中PAI-1値の変化量の推移

 さらに、カンデサルタン群では血中t-PA値の有意な低下が認められたのに対し、イミダプリル群では不変であった(図3)。

図3 血中t-PA値の変化量の推移

 以上のように、正常体重の軽症〜中等症高血圧患者に対し、イミダプリルとカンデサルタンは同等の降圧効果を有するが、インスリン抵抗性と線溶系に対する効果は必ずしも同じではないことが示された。すなわち、イミダプリルはインスリン抵抗性を改善し、線溶系の機能を亢進させたが、カンデサルタンにはインスリン抵抗性改善作用はなく、線溶系に対してはむしろ機能を低下させる方向に働くことが示唆された。Fogari氏らは、「ACE阻害薬の降圧を超えた強力な心保護作用の一端は、インスリン抵抗性と線溶系に対するACE阻害薬とARBの作用メカニズムの違い、例えばアンジオテンシンIVの関与などによって説明できるかもしれない」と述べた。

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