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EBM:TOPICS

2009/8/26

The AGELESS Study

高齢者収縮期高血圧への降圧効果、レニン阻害薬はACE阻害薬と同等以上(AHA2008より)

Aliskiren for GEriatric LowEring of SyStolic hypertension

関連ジャンル:
高血圧

米Minessota大のDaniel Duprez氏

 直接的レニン阻害薬(DRI)という新しいカテゴリーの降圧薬アリスキレン(日本では承認申請中)。このアリスキレンの降圧効果や臓器保護作用を確認するため14件3万5000例の無作為化二重盲検で取り組まれている臨床試験プログラムASPIREHIGHERの1つである高齢者収縮期高血圧を対象としたThe AGELESS Studyの結果が、米Minessota大のDaniel Duprez氏によって報告された。アリスキレン単独投与は、ラミプリル単独投与に比べて降圧効果は同等以上であるという結果が示された。

高齢者収縮期高血圧を対象にアリスキレンとラミプリルを比較
 レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を阻害するACE阻害薬(ACEI)、ARBは高血圧治療の第一選択薬として広く使用されているが、DRIであるアリスキレンも単剤または他剤との併用で十分な降圧効果を示すことが既に報告されている(Weier et al.J Am Soc Hypertens 2007;1:264-277)。

 今回の試験は、高齢者収縮期高血圧を対象にアリスキレンを基礎とした降圧効果とACEIラミプリルを基礎とした降圧効果を比較したもの。対象は65歳以上の本態性収縮期高血圧患者(平均坐位収縮期血圧≧140mmHgおよび<180mmHg、平均坐位拡張期血圧<110mmHg )901例。65〜74歳が3分の2、75歳以上が3分の1を占め(平均72歳)、平均坐位血圧は157/86mmHgだった。

 試験デザインは、アリスキレンを基礎とした治療群(アリスキレン単独、続いてアリスキレン+他剤併用:457例)とラミプリルを基礎とした治療群(ラミプリル単独、続いてラミプリル+他剤併用:444例)に無作為に割り付けた。アリスキレンは150mg/日、ラミプリルは5mg/日から投与を開始し、降圧目標(<140/90mmHg)に達しない場合は同薬の倍量、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)12.5mg/日の併用、同薬の倍量、Ca拮抗薬アムロジピン5mg/日の併用、同薬の倍量と段階的に併用・増量された(図1)。試験期間は36週で、最終的にアリスキレンを基礎とした治療群344例、ラミプリルを基礎とした治療群336例となった。

 主要評価項目は12週時点における平均坐位収縮期血圧の試験開始時からの変化。アリスキレン単独(150〜300mg/日)のラミプリル単独(5〜10mg/日)に対する非劣性を解析して、非劣性が達成できたならば優越性についても検討した。

 二次評価項目は、(1)36週時点における試験開始時からの平均坐位収縮期血圧の変化(アリスキレンを基礎とした治療とラミプリルを基礎とした治療の比較)、(2)12週および36週時点における試験開始時からの平均坐位拡張期血圧の変化、(3)12週、22週、36週時点における降圧目標に到達した患者の割合、(4)併用療法を必要とした患者の割合、(5)安全性と忍容性。加えて、22週時点での平均坐位収縮期・拡張期血圧の試験開始時からの変化も検討。これは22週以前に脱落した患者の最終観察データも含めて解析したが、あらかじめ設定したプロトコールではない。

12週でのアリスキレン単独投与の降圧効果はラミプリルと同等以上
 Duprez氏は、主要評価項目である12週時点での試験開始時からの平均坐位収縮期血圧の変化に関しては、アリスキレン単独投与のラミプリル単独投与に対する非劣性が証明されたと語った。非劣性のマージンは3.5mmHgだった。22週と36週においてもアリスキレン+併用群のラミプリル+併用群に対する非劣性も証明された(図2)。

 続く優越性の解析では、試験開始時から12週時点でのアリスキレン単独投与群でラミプリル単独投与群よりも平均坐位収縮期血圧が有意に低下しており、アリスキレン単独投与群のラミプリル単独投与群に対する優越性が見られた。

 22週においてもアリスキレン+HCTZはラミプリル+HCTZより平均坐位収縮期血圧が試験開始時から有意に低下しており、アリスキレン+HCTZのラミプリル+HCTZに対する優越性が見られたが、36週では見られなかった。拡張期血圧に関しても、収縮期血圧の場合と同様に非劣性が証明され、非劣性のマージンは2.0mmHgだった。

 一方、降圧目標到達率に関して、12週のアリスキレン単独群、22週、36週のアリスキレン+併用群で、12週のラミプリル単独群、22週、36週のラミプリル+併用群よりもそれぞれ有意に高かった(図3)。36週時点における併用薬剤の評価では、アリスキレン群でラミプリル群よりもHCTZやアムロジピンの併用を必要とする頻度が有意に少なかった。

 アリスキレンを基礎とした治療群、ラミプリルを基礎とした治療群ともに忍容性は良好だったが、前者ではより咳の出現が少なかった(4%対13%)。その他の有害事象の出現頻度は、両群ともに同様に低かった。

 今回得られた高齢者収縮期高血圧に対するアリスキレンの降圧効果が、今後、ASPIRE HIGHERプログラムで得られる心臓、腎臓などの臓器保護作用に関するデータにどのように反映されるのか、注目される。

(日経メディカル別冊)

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