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EBM:TOPICS

2008/4/21

CORONA

心不全患者の心血管死予防におけるストロングスタチン追加効果

Controlled Rosuvastatin Multinational Study in Heart Failure

関連ジャンル:
心疾患
臨床研究

 強力なLDL-C低下作用を有するロスバスタチン(商品名;クレストール)が、冠動脈のアテローム退縮に有効であることは、METEOR StudyやASTEROID Studyで示されている。それらの知見を受けて、今年、米食品医薬品局(FDA)はロスバスタチンに「アテローム性動脈硬化の進展を抑制」という新たな適応を承認した。

 では、アテローム性動脈硬化の終末像の1つといえる心不全に対し、ロスバスタチンを追加することで、心血管死をどの程度抑制することが可能か─。

 この問いに答えるべく実施されたCORONA Studyの結果が、2007年11月、米国心臓協会(AHA)学術集会で発表された。

 その結果、1次エンドポイントである心血管死+心筋梗塞+脳卒中の発症は、有意差は得られなかったもののロスバスタチン群で減少、また心血管死と、心不全による入院数は、有意な減少が認められた。

虚血性慢性心不全患者にロスバスタチンを投与

 CORONA Studyは、虚血性慢性心不全(NYHA心機能分類II〜IV度)、平均EF31%で、脂質低下薬が非投与あるいはその必要がなく、至適治療を受けている患者を対象に、21カ国で実施された。

 平均年齢73歳、女性24%。2〜4週間のプラセボ投与後、ロスバスタチン10mg群(2514例)とプラセボ群(2497例)に無作為化した。

 1次エンドポイントは心血管死+非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中(イベント発症までの時間)。2次エンドポイントは全死亡、冠動脈イベント、心血管死、心血管イベントによる入院。追跡期間2.7年(中央値)だった。

 解析の結果、LDLコレステロール(LDL-C)値の推移を見ると、ロスバスタチン群では投与3カ月後から試験終了時まで、安定かつ有意な低下が認められた。プラセボ群とロスバスタチン群との絶対差は、3カ月後−45%、15カ月後−41%、36カ月後−34%だった(ベースライン時の値は両群とも137mg/dL)。

アテローム性動脈硬化性イベントを抑制

 1次エンドポイントは、ロスバスタチン群692例(27.5%)vsプラセボ群732例(29.3%)。両群間に有意差は認められなかったが、プラセボ群に比べロスバスタチン群で8%減少した。心血管死の大半が突然死または虚血以外の原因によるものだった。

 スタチンにおいてベネフィットが示されている心筋梗塞および脳卒中などのアテローム性動脈硬化性イベントの発症は、ロスバスタチン群227例(9.0%)に対してプラセボ群264例(10.6%)と、ロスバスタチン群で抑制傾向が見られた(post hoc解析、図1)。

 また、入院数については、心血管疾患、心不全、それらを含む全ての原因のいずれにおいても、ロスバスタチン群で有意に入院数が減少した(図2)。

 さらに、安全性に関してもロスバスタチン群は心不全患者に対し良好な忍容性を示し、プラセボ群と同様の安全性プロファイルが認められた(表1)。有害事象の頻度および種類は、試験期間を通じていずれの投与群にも大きな差は見られなかった。

心筋代謝が保たれた例でメリットが示される

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学教授の堀正二氏は、「CORONA Studyは、冠動脈プラークの安定化・退縮作用とともに、スタチンの多面的効果『抗炎症作用』、『内皮機能改善作用』の2つの効果を期待して実施された挑戦的なスタディである」とした上で、その結果について、「1次エンドポイントで有意差は得られなかったものの、心不全の悪化による入院は有意に低下し、心血管死の抑制傾向も示し、また安全性も確認されたことにより、ネガティブな結果ではない」と語る。

 また、「サブ解析を見ると、ロスバスタチンが特に有効だと思われる症例がある。BMIや血圧が高い例、EF30%以上の軽症から中等症、比較的若年例でロスバスタチンが有効だった」と堀氏は指摘する。

 サブ解析では、BMIが26以上、収縮期血圧が122.5mmHg以上、拡張期血圧が73mmHg以上の群で、有意差が示されている。

 「これらの症例は、心筋代謝が比較的保たれているため、ロスバスタチンによるメリットが示された可能性がある。重症例ではスタチン投与によるCoenzymeQ10の減少が心不全の悪化を助長するため、ベネフィットが得られないのかも知れない」と堀氏は分析する。

 さらに堀氏は、「まもなく結果が報告されるGISSI-HFではロスバスタチンのリスクとベネフィットをCORONAとは異なり、非虚血性心不全をも含めた対象で検討しているため、CORONAの結果を合わせると心不全治療におけるスタチンの効果がよりクリアになると思われる」と期待感を示した。

 なお、CORONA Studyはスタチン研究における未解明の重要な問題に取り組むためのGALAXYプログラムの1つ。これまで同プログラムには世界55カ国から6万9000例を超える患者がエントリーしている。

(日経メディカル別冊)

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