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2008/4/21

MEGA Study (高血圧解析)

高血圧と高脂血症合併例でも心血管系疾患の一次予防に有用

Management of Elevated Cholesterol in the Primary Prevention Group of Adult Japanese(高血圧解析)

関連ジャンル:
高血圧
臨床研究

 2006年10月、第21回国際高血圧学会でMEGA Studyにおける高血圧解析の結果が発表された。高血圧と軽度〜中等度の高脂血症合併例において、食事療法にプラバスタチン(商品名;メバロチン)を併用した脂質管理が、心血管系疾患の一次予防に有用であり、特に脳梗塞については発症リスクを46%低下させることが明らかになった。

主解析では冠動脈疾患の発症リスクを33%抑制

 MEGA Studyの対象は、40〜70歳で、冠動脈疾患・脳卒中の既往のない、軽度〜中等度(総コレステロール値220〜270mg/dL)の日本の高脂血症患者7832例。食事療法単独群3966例と食事療法+プラバスタチン(10〜20mg/日)併用群3866例に無作為割り付けし、平均5.3年間にわたり追跡した。

 主解析の結果は2006年のLancetに掲載され、1次エンドポイントである冠動脈疾患の発症リスクは、プラバスタチン併用群で33%有意に低下することが示された。これまで、冠動脈疾患の死亡率が低い日本人でコレステロールを低下させるメリットがあるかどうか疑問視する声も存在していたが、高脂血症治療の重要性を浮き彫りにする結果だった。

 その後、日常診療で遭遇することの多い、高血圧と軽度〜中等度の高脂血症合併例においても冠動脈疾患や脳梗塞の発症リスクがプラバスタチンの併用で低下するかどうか、サブ解析の結果が注目されていた。

日本人で多く見られる脳梗塞の発症リスクが46%低下

 高血圧解析の対象は、食事療法単独群1664例とプラバスタチン併用群1613例。平均年齢60歳。

 両群間で追跡期間中の血圧値に差は認められず、ほぼ良好にコントロールされていた。試験開始から5年時の血清脂質値の変化を見ると、プラバスタチン併用群では総コレステロール(TC)値は12.8%、LDLコレステロール(LDL-C)値は20.0%、中性脂肪(TG)値は9.6%それぞれ低下、HDLコレステロール(HDL-C)値は4.7%上昇しており、食事療法単独群(TC値2.2%低下、LDL-C値3.6%低下、TG値1.6%低下、HDL-C値2.0%上昇)に比べて、有意に改善された。

 1次エンドポイントである冠動脈疾患の発症率は、有意差には至らなかったものの、食事療法単独群に比べてプラバスタチン併用群で29%のリスク低下が認められた。二次エンドポイントでは、冠動脈疾患+脳梗塞が35%、心血管系疾患が33%、有意にリスクが低下した。また、有意差はなかったが、心筋梗塞のリスクが22%、脳卒中のリスクが31%、総死亡が22%低下した(図1)。

脳梗塞発症リスク低下は背景因子によらず

 主解析においては単独で評価されなかった脳梗塞発症についても解析が行われ、プラバスタチン併用群では46%の有意なリスク低下が認められた(図2)。この脳梗塞の発症リスクについて、性、糖尿病合併の有無、BMI25未満・以上、喫煙の有無による層別化解析を行ったところ、これらの背景因子にかかわらず、プラバスタチン併用による一貫した脳梗塞発症抑制が認められた。

 カプラン-マイヤー曲線を見ると、冠動脈疾患+脳梗塞では1年後から、脳梗塞では追跡早期から両群の明らかな乖離が認められる(図2)。NNT(治療必要数)は、冠動脈疾患+脳梗塞が61、脳梗塞が115、心血管系疾患が50だった。

 さらに、MEGA Studyの全例を対象に高血圧と糖尿病合併の有無で層別化を行うと、高脂血症のみの食事療法単独群に比べ、高血圧+糖尿病合併例では、冠動脈疾患+脳梗塞は3.18倍、心血管系疾患は3.30倍も発症リスクが増大していた。しかし、プラバスタチンの併用により、これらのリスクはそれぞれ1.94倍、2.23倍まで抑制された。

 高血圧解析の成績を発表した駿河台日本大学病院循環器科准教授の久代登志男氏は、「1次エンドポイントの冠動脈疾患のリスク低下は有意差はつかなかったが、これは解析対象が7832例から3277例に減り、イベント発生数が減少したことの影響と考えられる」と指摘した。

 また久代氏は、「今回の解析によると、高血圧合併による脳梗塞発症は1000人・年あたり食事療法単独群4.1、プラバスタチン併用群2.2であり、心筋梗塞発症率に対して脳梗塞発症率が約2倍高かった。このような脳梗塞リスクの高い集団に対して、血圧が同等にコントロールされているにもかかわらず、プラバスタチン併用群の脳梗塞リスクが46%減少したことの意義は大きい」と話す。

 さらに久代氏は、「高血圧治療の最終目標は、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発症を抑制し、QOLを低下させず、健康寿命を延ばすことだ」とした上で、「高血圧に軽度〜中等度の高脂血症を合併している場合は、生活習慣の改善に加え、厳格な降圧とともに高脂血症に対してもプラバスタチン併用による積極的な治療が患者のQOLに好影響をもたらすと考えられる」と強調した。

(日経メディカル別冊)

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