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EBM:TOPICS

2008/3/27

PROactive

心筋梗塞・脳卒中などの再発リスクを抑制したピオグリタゾン

PROspective pioglitAzone Clinical Trial In macroVascular Events

関連ジャンル:
心疾患
脳血管

 2型糖尿病患者における厳格な血糖コントロールの維持が、糖尿病に特有な細小血管障害の発症・進展を抑制するというエビデンスは多いが、大血管障害を抑制できることを示した前向き研究は十分ではなかった。

 PROactive試験は、大血管障害の既往がある2型糖尿病患者を対象として、糖尿病および循環器疾患の標準治療にインスリン抵抗性改善薬ピオグリタゾン(商品名;アクトス)を追加投与することによって、心血管イベントの進展を抑制できるかどうかを検討した。その結果、ピオグリタゾンは、経口糖尿病薬として世界で初めて、2型糖尿病患者における心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントの再発、総死亡を有意に減少させることが明らかになった。

心筋梗塞の再発を28%減少、脳卒中の再発も47%減少

 対象となったのは、心筋梗塞の既往例が約半数、脳卒中既往例が2割、その他の大血管障害既往例が6割であった。ピオグリタゾン群(2605例)とプラセボ群(2633例)とに無作為に割り付けた段階で、メトホルミン、SU薬がそれぞれ60%以上の患者に投与されており、30%がインスリン治療を受けていた。また心血管疾患治療薬は約95%に投与されており、そのほか抗血小板薬、高脂血症治療薬も多く使用されていた。つまり、“best possible treatment”がなされている症例に、さらにピオグリタゾンの追加による効果が生じるか検討された(図1)。

 解析の結果、主要評価項目(総死亡、非致死性心筋梗塞、脳卒中、下肢切断、急性冠症候群、心インターベンション、下肢血行再建術のいずれかの発症)は、ピオグリタゾン群514例、プラセボ群572例で、有意差はないものの、ピオグリタゾン群で10%の相対リスク減少が認められた。一方、ハードエンドポイント(総死亡、非致死性心筋梗塞、脳卒中)では、ピオグリタゾン群で16%と有意に低下した。

 さらに、心筋梗塞既往2445例におけるサブグループ解析では、ピオグリタゾン群はプラセボ群に比し、心筋梗塞再発が28%の減少、急性冠症候群の発症も37%減少とそれぞれ有意な低下を示した。また、脳卒中既往984例のサブグループ解析では、ピオグリタゾン3年間の投与で脳卒中の再発を47%有意に低下させた(図2)。

 HbA1c値の推移を見ると、プラセボ群と比較してピオグリタゾン群は有意に低下し、長期にわたる良好な血糖コントロールを示した(表1)。また、試験開始3年後のインスリン治療導入率は、プラセボ群と比較し、ピオグリタゾン群は53%有意に減少した(図3)。

血糖低下作用のみならず、アディポネクチン増加作用も影響

 東大大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授の門脇孝氏は「糖尿病による大血管障害を克服する上で、非常に大きなインパクトを持つ貴重なデータだ」とPROactive試験の結果を高く評価する。

 そして、そのメカニズムについて次のように解説する。「われわれはピオグリタゾンが善玉アディポカインであるアディポネクチンを介して、あるいは介さずに抗動脈硬化作用を発揮することを確認している。ピオグリタゾンによる心血管イベント抑制作用は優れた血糖低下作用のみならず、アディポネクチン増加作用や抗炎症作用などの直接的な抗動脈硬化作用が発揮されたものと考えられる」。

 門脇氏が研究リーダーを務める、2型糖尿病に伴う血管合併症抑制のための介入試験J-DOIT3にも、この試験は大きな影響を与えた。「J-DOIT3 は死亡、心筋梗塞、脳卒中などの合併症の高リスク群において、強化治療により合併症の30%減少を目指す研究。スタチン、RA系抑制薬、抗血小板薬にピオグリタゾンを加えることで、日本人の2型糖尿病における大血管合併症が抑制されることを期待している」と述べた。

(日経メディカル別冊)

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