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EBM:TOPICS

2008/3/27

RENAAL

ARBロサルタンが腎障害の進展を抑制

Reduction of Endpoints in NIDDM with the Angiotensin II Antagonist Losartan

関連ジャンル:
高血圧
腎・泌尿器

日本初の大規模国際共同治験

 糖尿病性腎症は日本における透析導入の最大の原因疾患である。腎障害を早期発見し、透析、腎移植が必須となる末期腎不全への進行を抑えることは極めて重要な課題となっている。

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARBロサルタン(商品名;ニューロタン)の、2型糖尿病性腎症例に対する腎保護作用を検証した無作為二重盲検比較試験RENAALには、日本を含めた世界28カ国が参加した。

 そして結果として、既にCa拮抗薬や利尿薬などの降圧薬を使用している2型糖尿病性腎症例にロサルタンを追加することによって、腎障害の進展が抑制され、このロサルタンの腎保護効果は降圧作用とは独立したものであることが示された。

 またサブ解析では、アジア人、特に日本人において、より優れた腎保護作用を示すことも明らかとなった。

 このRENAAL試験の結果を受け、2006年4月、ロサルタンは国内で初めて2型糖尿病性腎症の適応を追加取得した。

 RENAAL試験の対象は、腎症を合併した2型糖尿病患者1513例(尿中アルブミン/クレアチニン比:>300mg/g以上、血清クレアチニン値:1.3〜3.0mg/dL)。

 地域別の組み入れ患者は、北米46%、欧州19%、中南米18%、アジア17%であり、アジア人252例のうちでは日本人が96例と、最も多かった。

 高血圧の有無は不問とされたが、結果として組み入れられた患者の94%は降圧薬を服用していたため、これらに対してはACE阻害薬とARB以外の処方を継続した上で、ロサルタン群(751例)とプラセボ群(762例)に割り付けた。

 降圧目標値は140/90mmHg未満とされ、ロサルタンを50mg/日から開始し、目標血圧値に到達しない場合は100mg/日まで増量、さらに ACE阻害薬、ARB以外の降圧薬も併用された。プラセボ群についても同様に血圧がコントロールされるように、ACE阻害薬とARB以外の降圧薬の併用が認められた。

 一次エンドポイントは血清クレアチニン値の倍増、末期腎不全、死亡。二次エンドポイントは心血管系イベントによる合併症+死亡の発生、尿蛋白、腎疾患の進展度。平均追跡期間は3.4年だった。

末期腎不全(透析・腎移植)の発生リスクが28%減少

 その結果、複合一次エンドポイントの発生は、プラセボ群359例(47.1%)に対し、ロサルタン群327例(43.5%)で、ロサルタン群のリスク低下率は16%だった。項目別に見ると、血清クレアチニン値倍増のリスク低下率は25%。また末期腎不全(透析・腎移植)のリスク低下率は28%だった(図1)。

 尿蛋白は腎機能障害のマーカーであり、腎障害を促進させる因子でもあるが、ロサルタン群は尿蛋白排泄量をプラセボ群に比較し35%減少させた(図2)。

 両群ともに同等の血圧コントロール下にありながら、ロサルタン群でリスク低下が認められたことから、同薬剤の腎保護効果は降圧作用とは独立したものであることが示された。

 また、試験開始6カ月後の尿蛋白量の変化率により試験対象1513例を3群(<0%、≦0<30%、≧30%)に分けて検討した結果、尿蛋白が30%以上に改善されていた群では心血管イベントが抑制されることも明らかとなった。

アジア人、日本人においてさらに優れた有用性を示す

 アジア人解析では、ロサルタンのより高い腎保護効果が認められた。複合エンドポイントでは全体解析のリスク低下率が16%だったのに対し、アジア人ではそれを大きく上回る35%のリスク低下を示した。尿蛋白排泄量の減少率も、全体解析では35%だったが、アジア人においては47%減少させた。また、複合一次エンドポイントにおける治療必要人数(NNT)は、全体解析では28だったが、アジア人では8であった。

 日本人解析では、尿蛋白(連続変数)で補正した数値が発表されている。それによると、複合一次エンドポイントでは全体解析のリスク低下率が22%であるのに対し、45%のリスク低下が認められた。尿蛋白排泄量の減少率は37.8%だった。注目すべきは、NNTが日本人では6.5と、非常に小さな値を示したことだ。

微量アルブミン尿が認められる初期からのRA系抑制が大切

 名古屋市立大心臓・腎高血圧内科学教授の木村玄次郎氏は「RENAAL試験は、ロサルタンを用いることで、代用エンドポイントである尿蛋白減少だけでなく、ハードエンドポイントである末期腎不全、透析への移行抑制を実証したことに意義がある」とした上で、次のように話す。

 「ロサルタンは、LIFE試験で糖尿病や微量アルブミン尿の新規発症を抑制すること、RENAAL試験で既に血清クレアチニン値が上昇している糖尿病性腎症の進展を抑制することを示した。つまり、早期から顕性に至る糖尿病性腎症のすべてのステップにおいて、腎保護効果を示すことが認められたわけである。糖尿病性腎症の治療は厳格な降圧とともにRA系の抑制が必要であり、ロサルタンの適応追加はわが国の糖尿病性腎症の治療に大きな転機をもたらしたと考えられる。特に、微量アルブミン尿が認められる初期からRA系を抑制することが大切」。

 そして木村氏は、「心腎相関を考慮すると、腎症のみならず、心血管イベントを抑制するためにも、なるべく早い段階からロサルタンの積極的投与を検討すべき」と提言した。

(日経メディカル別冊)

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