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EBM:TOPICS

2008/3/27

CASE-J

肥満者や慢性腎臓病で有効性が認められたカンデサルタン

Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan

関連ジャンル:
高血圧
腎・泌尿器

 日本人のハイリスク高血圧症例に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARBカンデサルタン(商品名;ブロプレス)とCa拮抗薬アムロジピン(同;ノルバスク、アムロジン)を3年以上投与した場合の心血管系イベントの発現について検討した大規模臨床試験として、CASE-Jは大きく注目された。

 カンデサルタン群2354例、アムロジピン群2349例に、カンデサルタンは4〜8mg/日(最大12mg/日)、アムロジピンは2.5〜5mg/日(最大10mg/日)を投与し、平均3.2年の追跡期間中に発現する心血管系イベント(脳・心・腎・血管イベント)を比較した。

 登録例の背景は、平均年齢63.9歳。血圧が163/92mmHg。BMI24.5kg/m2。脳卒中などの既往例10.3%。左室肥大と心疾患既往例が合わせて47.8%。腎機能障害例27.0%。そして、180/110mmHg以上の重症高血圧が20.1%に認められた。

腎機能障害の発症・悪化を顕著に抑制

 CASE-Jの結果は、2006年に福岡で開催された第21回国際高血圧学会(ISH2006)で報告された。それによると、両群とも135/80mmHg未満にまで降圧するなど、優れた降圧効果が発揮されたが、試験期間を通じて約2/1mmHg、カンデサルタン群が高かった。しかし、このような血圧差があったにもかかわらず、一次エンドポイントである心血管系イベントの発現はまったく同等であった。これを構成する脳、心、腎、血管、それぞれのイベント発現率にも、両群間に有意な差は認められなかった。

 ところが、肥満者では、全死亡がカンデサルタン群で半減、致死性心血管イベントも1/3まで減少する傾向が認められた。そして、カンデサルタンによるリスク低下は、肥満度が高まるほど大きいという貴重な成績が得られた(図1)。

 糖尿病の新規発症も、カンデサルタンがアムロジピンよりも有意に抑制した。この抑制効果もまた、肥満度が増すほど大きかった。注目すべきは、アムロジピン群に見られるように、肥満度が高まると糖尿病の発症率も高くなるはずだが、カンデサルタン群の糖尿病発症率は非肥満例と同等であったことだ(図2)。さらに、クレアチニンクリアランスが60mL/分未満と、いわゆる慢性腎臓病(CKD)の患者における腎イベント発現リスクを、カンデサルタンは57%低下させた(図3)。この腎イベント発現率も、カンデサルタン群では腎機能障害の重症度にかかわらず、ほぼ一定していた。

 昨今、CKDは、末期腎不全よりも心血管系イベントの重大なリスクとして注目されている。CASE-Jでも、腎障害が心血管系イベントの最も重大なリスクとなることが示されている。同時に、CKD例の心血管系イベントの発症率をカンデサルタンが22%低下させることも、第17回欧州高血圧学会(ESH2007)で報告され、注目を集めた(図4)。

糖尿病の発症と腎障害の進展抑制が重要

 佐賀大医学部循環器・腎臓内科学教授の野出孝一氏は「CASE-Jの中で注目したいのは、糖尿病の新規発症と、CKDの進行をカンデサルタン群が有意に抑制したという成績である。糖尿病例に対するPCI(冠動脈インターベンション)は、治療に難渋するだけでなく、予後も悪い。そのため、一次予防の段階で糖尿病の新規発症は、極力防止しておいてほしいのが、PCIを専門とする者の願いである。また、腎機能低下例にPCIを施行する場合、造影剤腎症に細心の注意を払う必要があるだけでなく、院内死亡リスクが高くなるなど、予後も不良である。従って、腎機能は、できるだけ良い状態に保持しておきたい。この観点からも、一次予防でカンデサルタンをベースとした降圧療法は、推奨されるべきである」と、CASE-Jで得られたカンデサルタンの有用性を高く評価している。

(日経メディカル別冊)

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