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HEAAL:結果速報

2009/12/8

心不全患者へのロサルタン高用量投与で10%イベントが減少

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心不全

 心不全患者に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)ロサルタンの中用量(50mg/日)投与と高用量(150mg/日*)投与の心血管イベント抑制効果を比較する大規模臨床試験HEAAL試験の結果が、今年11月に米フロリダ州オーランドで開催された米国心臓協会年次学術集会(AHA2009)で発表された。結果は、1次エンドポイントの総死亡+心不全による入院が、150mg群で10%有意に低下し(p=0.027)、ロサルタンによる心不全治療効果の用量反応性が証明された。

 HEAAL試験には、症候性心不全患者3846例(150mg群1927例、50mg群1919例)が登録。データに欠落があった12例(両群6例ずつ)を除く3834例が解析に供された。

 年齢は平均64歳、男性比率は70%で、ベースライン時の左室駆出率(LVEF)は平均31.6%、ニューヨーク心臓協会分類(NYHA)クラスはII度が約7割、III度が3割を占め、IV度は1%未満であった。また、試験実施前には77%の患者にARBが投与されていたほか、72%にβ遮断薬が、38%に抗アルドステロン薬が投与されていた。

 ロサルタンの平均投与量は、150mg群が128.9mg/日、50mg群が45.6mg/日、追跡期間(試験終了またはイベント発生までの期間)の中央値は、両群ともに4.7年だった。また、中途脱落率は150mg群が28.3%、50mg群が27.3%であり、有害事象による脱落はそれぞれ7.7%、7.0%だった。

 全追跡期間を通して、150mg群では1921例中828例で1次エンドポイント(総死亡+心不全による入院)の発生が確認された。ただし、イベントを発生した患者のうち、試験終了時のデータが不明だった患者が41例、バイタルステータス不明の患者が48例を数えた。一方、50mg群では、1913例中889例で1次エンドポイントが発生。54例が試験終了時のデータ不明、62例のバイタルステータスが不明だった。

図1 ロサルタン150mg群で有意な抑制が認められた(AHA2009の発表から引用。詳細は現在、AHAのWebサイトで閲覧できる)

 その結果、1次エンドポイントについて、50mg群に対する150mg群のHRは0.90(95%CI:0.82-0.99、p=0.027)となり、150mg群で10%の有意なイベント抑制が認められた(図1)。ロサルタン150mg/日を4年以上投与した場合、31人につき1人が死亡もしくは心不全による入院を回避できる計算になるという。

 一方、2次エンドポイントのうち、総死亡+CVDによる入院、総死亡については有意な抑制が認められなかった。しかし、心不全による入院(HR=0.87、p=0.025)、CVDによる入院(HR=0.89、p=0.023)については、150mg群で有意な抑制が認められた(図2)。 

図2 1次エンドポイントと主な2次エンドポイントにおける用量間の比較(AHA2009の発表から引用。詳細は現在、AHAのWebサイトで閲覧できる)

 あらかじめ設定されたサブグループごとの解析では、高血圧を有する患者に比べ、高血圧のない患者におけるHRが有意に低かった(p=0.01)。しかし、年齢、性別、居住地域、NYHAクラス、高血圧以外の併存疾患、使用薬剤などの違いは、いずれも1次エンドポイントに有意な影響を及ぼさなかった(図3)。

 有害事象の発生率は、高カリウム血症が150mg群2.79%、50mg群1.87%、低血圧がそれぞれ2.92%、2.07%、腎障害がそれぞれ7.12%、4.73%であり、いずれも150mg群で有意に高率だった(順にp<0.01、p=0.002、p<0.01)。

 しかし、それらの有害事象のために試験薬の投与を中止したケースは、高カリウム血症で150mg群が0.12%、50mg群が0.05%、低血圧では同じく0.26%、0.22%、腎障害で0.65%、0.49%とわずかであり、両群間に有意な差は認められなかった。

図3 サブグループごとの用量間比較(AHA2009の発表から引用。詳細は現在、AHAのWebサイトで閲覧できる)

 以上の結果から、ACE阻害薬に忍容性のない心不全患者に対する高用量のロサルタン投与は、同剤の中用量投与に対し、安全性に大きな問題をきたすことなく、さらに優れたイベント抑制をもたらすことが明らかになった。

 なお、高用量のACE阻害薬カプトプリル(150mg/日)と中用量のロサルタン(50mg/日)を比較したELITE-2試験(2000年)では、両群のイベント抑制効果に有意差はなく、優越性を示すことはできなかった。しかし、今回のHEAAL試験の結果は、高用量のロサルタンであればACE阻害薬以上の効果が十分に期待できることを示唆するものだ。

 AHAの最新臨床試験報告(LBCT)セッションにおける本試験発表後、discussant(コメンテーター)を務めたスウェーデン・イエテボリ大学のSwedberg氏は、新たな用量設定でのロサルタン対ACE阻害薬の試験が望まれるとした。


*) ロサルタン150mgは国内未承認用量

(日経メディカル別冊)



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