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EMPHASIS‐HF

2010/12/1

EMPHASIS-HF Study──試験結果

軽症心不全患者に対するエプレレノン投与は心血管死や心不全による入院を抑制

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 各エンドポイントについて詳細に見てみると、全死亡について、エプレレノン群12.5%に対してプラセボ群15.5%で、エプレレノンは全死亡を24%有意に抑制(ハザード比0.76、95%CI 0.62-0.93、p=0.008)。心血管死については、エプレレノン群10.8%に対してプラセボ群は13.5%で、エプレレノンは心血管死を24%有意に抑制(ハザード比0.76、95%CI 0.61-0.94、p=0.01)、心不全による入院についてはエプレレノン群12.0%に対してプラセボ群18.4%で、エプレレノンは心不全による入院を42%抑制(ハザード比0.58、95%CI 0.47-0.70、p<0.001)することが示された(表2)。

 抗アルドステロン薬処方時には血清K値の上昇に注意が必要となるが、EMPHASIS-HF試験においても、エプレレノン群の高K血症発生率はプラセボ群に比べて有意に高かった(8.0% 対 3.7%)。しかし、高K血症によって試験薬の投与を中止する必要があった患者の割合については、プラセボ群と同等だった(1.1% 対 0.9%、表3)。

(画像をクリックすると拡大します)

 以上の検討からZannad氏は、心不全の標準治療にエプレレノンを追加することで、生存期間延長および入院回避が期待できることから、軽症の慢性心不全患者に対する薬物療法として推奨されると結論した。


軽症心不全への追加投与で効果が得られた意義は大きい


大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
小室一成氏

 今回、軽症心不全患者を対象としたEMPHASIS-HF試験において、抗アルドステロン薬であるエプレレノンを標準的な治療に追加した結果、心血管死や心不全による入院をプラセボ群に対して37%も抑制できたという結果が得られた。これは非常に素晴らしい結果だと思う。

 これまで、心不全の重症度分類(NYHA)III度、IV度の重症心不全患者に対して抗アルドステロン薬が有効であることが示されており、EMPHASIS-HF試験においても良い効果が得られるだろうとは予想していたが、今回の結果は予想以上に高い効果だった。

 重症心不全患者に対してスピロノラクトンが有効であることを示したRALES試験の結果が1999年に発表されているが、このRALES試験においては、ACE阻害薬の処方量は十分でなく、β遮断薬はほとんど処方されていなかった。今回のEMPHASIS-HF試験の対象者は9割以上がRA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)、β遮断薬をともに処方されており、最新のガイドラインに則った治療を受けていた。こうしたベストな治療を受けている患者であってもエプレレノンを追加投与することでさらに生命予後が改善できることが示されたことの意義は大きいと思う。

 日本における日常診療においては、NYHA II度の軽症患者に対して抗アルドステロン薬を処方しているケースも多いが、EMPHASIS-HF試験で軽症患者に対する抗アルドステロン薬の効果が示されたことで、日本の臨床現場で行われている治療の有効性が大規模試験によるエビデンスにおいても確認されたと言えるだろう。

 現在、日本でも心不全患者に対するエプレレノンの有効性を評価する臨床試験が始まっている。日本人の結果にも注目したい。


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