新着一覧へ

CSPS2:結果速報

2010/3/3

脳梗塞患者においてシロスタゾールの脳卒中再発予防効果が大規模試験CSPS IIで証明

関連ジャンル:
循環器
脳血管

 脳梗塞患者の脳卒中再発予防における抗血小板薬シロスタゾールの有用性を世界で最もよく使用されているアスピリンと比較検討した大規模臨床試験CSPSCilostazol Stroke Prevention Study)IIの結果が発表された。シロスタゾールのアスピリンに対する非劣性が証明されたばかりか、シロスタゾール投与群で脳卒中再発リスクが26%有意に低下し、出血リスクが54%有意に低下するなど、その有効性および安全性が明らかになった。成果は、主任研究者である立川病院院長の篠原幸人氏が、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催された国際脳卒中学会ISC2010)のLate-Breaking Science Sessionで発表した。

 CSPS IIは日本で実施された試験で、日本人のエビデンス構築に寄与することが期待されてきた。発症後26週以内の非心原性脳梗塞患者2757人をシロスタゾール(100mgを1日2回投与)またはアスピリン(81mgを1日1回投与)による治療にdouble-dummy法を用いて無作為割付し、1〜5年間治療を継続、脳卒中発症に対する抑制効果および安全性を比較した。

 CSPS IIの目的は、脳梗塞患者の脳卒中再発予防におけるシロスタゾールのアスピリンに対する非劣性を検証し、さらにその有効性および安全性を評価すること。非劣性についてはあらかじめ、シロスタゾールのアスピリンに対する脳卒中再発ハザード比の95%信頼区間上限値が1.33以下の場合と定義した。設定された条件に該当する非心原性脳梗塞患者2757人がいずれかに無作為割付され、二重盲検法により経過が観察された。中止例、脱落例などが除かれ、最終解析の対象となったのは2672例(シロスタゾール群1337例、アスピリン群1335例)だった。

 試験の結果、全治療期間はシロスタゾール群が2965.9人・年、アスピリン群が3203.6人・年であった。観察期間中に一次エンドポイントの脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)はシロスタゾール群で82例、アスピリン群で119例発生した。そのハザード比は0.743(95%信頼区間;0.564-0.981、p=0.0357、表1)であり、シロスタゾールのアスピリンに対する非劣性が証明された。

表1 一次エンドポイント(脳卒中)の頻度

 さらに重要なのは、シロスタゾール群の脳卒中再発率はアスピリン群に比べ有意に低いことが証明された点だ(RRR=26%)。また、二次エンドポイントとして検討した中で、脳卒中、TIA、狭心症、心筋梗塞、心不全、入院を要する出血などの複合エンドポイントの発生が、シロスタゾール群で有意(p=0.0437)に低かった。

 出血性イベントとしては、脳出血、クモ膜下出血および入院を要する出血の発症を評価。発症例数はシロスタゾール群23例(年間発症率0.77%)、アスピリン群57例(同1.78%)、ハザード比は0.458(95%信頼区間;0.296-0.711、p=0.0004、表2)となり、出血リスクはシロスタゾールにより54%有意に低下した。

表2 一次エンドポイント、二次エンドポイントと出血の頻度

 出血以外の有害事象で両群の頻度に有意差が認められたのは、頭痛(シロスタゾール群23.4%、アスピリン群16.3%、p<0.001)、下痢(12.3%、6.4%、p<0.001)、動悸(11.7%、5.3%、p<0.001)、めまい(9.6%、7.3%、p=0.03)、頻脈(6.7%、1.6%、p<0.001)、高血圧(9.0%、13.9%、p<0.001)、便秘(8.2%、11.6%、p=0.003)であった。

 以上の成績から、シロスタゾールのアスピリンに対する非劣性が証明されたばかりでなく、シロスタゾールにより脳卒中再発が有意に抑制され、さらに出血リスクも低かったことから、篠原氏は、「シロスタゾールは非心原性脳梗塞患者の治療における第1選択薬の1つとして評価できる」との見解を示した。

(日経メディカル開発)

*さらに詳しくは、http://csps2.jp/をご覧ください。

関連記事

Information PR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. アルツハイマー治療薬開発が進まない理由 理化学研究所神経蛋白制御研究チームシニア・チームリーダーの西道隆臣氏に聞く FBシェア数:118
  2. JCHO東京高輪病院で感染症内科医7人一斉退職 2017年4月から、ほぼ全科で土曜休診に FBシェア数:640
  3. 広がる中学生のピロリ検診・除菌 ニュース追跡◎エビデンス乏しく副作用の懸念も FBシェア数:547
  4. 酸素療法で飛んで行ったメガネ 倉原優の「こちら呼吸器病棟」 FBシェア数:69
  5. 急性肺塞栓除外のための新臨床ルールの提案 Lancet誌から FBシェア数:288
  6. なんでこんな検査を定期健診に入れている? 記者の眼 FBシェア数:206
  7. 「救急医にはアイデンティティーがない」の呪い 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:55
  8. 57歳男性。両下腿から足背の浮腫と紫斑 日経メディクイズ●皮膚 FBシェア数:0
  9. 大型マンション近くでも埋まらない医療モール その開業、本当に大丈夫ですか? FBシェア数:1
  10. 高齢者の微熱、実は重篤なケースも 大井一弥の「即解!高齢者薬物治療のピットフォール」 FBシェア数:34