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CSPS2:試験デザイン

2010/3/3

日本人脳梗塞患者2757例を対象に最長5年間追跡

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 アテローム血栓性脳梗塞ラクナ梗塞などの非心原性脳梗塞の二次予防では抗血小板療法が第一選択とされている。抗血小板薬の中で最もエビデンスが豊富なのはアスピリンであるが、より有効性、安全性の高い治療薬を求めて開発が進められてきた。そうした研究の一環として実施されたのが抗血小板薬シロスタゾールの有用性を検証する大規模臨床試験CSPS(Cilostazol Stroke Prevention Study)IIである。


 CSPS IIの目的は日本人の脳梗塞患者を対象に、脳卒中再発予防におけるシロスタゾールのアスピリンに対する非劣性を検証し、さらにその有効性および安全性を評価することである。本試験は多施設共同による二重盲検比較試験として実施され、278施設から2757例の脳梗塞患者が組み入れられた。対象患者の選択基準と除外基準は表1のとおり。脳梗塞発症後26週以内の症状が安定している患者を対象としたが、CT、MRIなどによる頭部画像撮影で責任病巣を観察し、脳梗塞の病型診断を行っていることが本試験の大きな特徴である。

表1 対象患者の主な選択・除外基準

 対象患者はシロスタゾール(100mgを1日2回投与)あるいはアスピリン(81mgを1日1回投与)による治療に無作為に割り付けられた。患者登録は2003年12月から2006年10月にかけて実施された。試験薬の投与期間は最短で1年間、最長で5年間であった。詳細な試験スケジュールを図1に示す。有効性評価のための主要評価項目として、治療期間中における脳卒中(脳梗塞、脳出血クモ膜下出血)、副次的評価項目として治療期間中の脳梗塞、虚血性脳血管障害(脳梗塞、一過性脳虚血発作[TIA])、全死亡、複合エンドポイント(脳卒中、TIA、狭心症、心筋梗塞、心不全または入院を要する出血)が設定された。一方、安全性に関する評価項目は、重篤な出血(脳出血、クモ膜下出血、入院を要する出血)である。

図1 試験スケジュール

 最初に登録された患者は2757例であったが、初期の再調査で患者選択基準に該当しないことが判明した症例、観察期間中にプロトコール違反が認められた症例などを除外した結果、2672例(シロスタゾール群が1337例、アスピリン群が1335例)が有効性および安全性に関する解析の対象となった。解析対象患者の臨床的背景については、表2のとおりである。

表2 対象患者の背景


<背景>
シロスタゾールの有効性、安全性はプラセボ対照試験で証明

 CSPS IIは、2000年に報告されたCSPSの結果を踏まえて実施された臨床試験である。CSPSは日本人の脳梗塞患者1095例を対象にプラセボを対照薬として行われた無作為化二重盲検比較試験で、抗血小板薬シロスタゾールの脳梗塞再発予防効果を検証した。その結果、シロスタゾールは脳梗塞の再発をプラセボに比べ41.7%減と、著明に抑制させた。日本人はラクナ梗塞を高頻度に発症することで知られ、CSPSでも被験者のほぼ4分の3がラクナ梗塞の患者であったが、シロスタゾールはラクナ梗塞群の再発リスクを43.4%、これも有意に低下させた。抗血小板薬の投与により一般に出血リスクが上昇するが、シロスタゾールはプラセボとの比較であったにもかかわらず脳出血を増やすことがなかったため、安全性でも優れていることが示唆された。

 CSPSによりシロスタゾールのプラセボに対する優位性は明らかになったが、実地臨床では他の抗血小板薬がしばしば処方されている。そこで脳梗塞患者の脳卒中再発予防におけるシロスタゾールとアスピリンの有用性を比較した臨床試験CASISP(Cilostazol versus Aspirin for Secondary Ischaemic Stroke Prevention)が中国で行われ、2008年にその結果が報告された。 CASISPでは脳梗塞患者720例を無作為に割り付け、12〜18カ月間治療を継続した。その結果、両群の間で脳卒中再発率に有意差は認められなかったが、脳出血の頻度はシロスタゾール群で有意に低いことが明らかになった。ただし、CASISP試験は小規模であり、観察期間も比較的短いことから、そのデータだけで両薬の優劣について結論をくだすことは適切でない。このため、両薬を比較する本格的な大規模試験が求められてきた。CSPS IIはそういった意味からも注目されていた。

(日経メディカル開発)

*さらに詳しくは、http://csps2.jp/をご覧ください。

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