表1 魚介類の摂取量と6年間の糖尿病発症の関連(上村氏らの発表から)

 魚介類を週に200g以上食べる人は、そうではない人に比べて、糖尿病発症リスクが有意に低いことが示された。また、加糖清涼飲料水をあまり飲まない人は、よく飲む人に比べて糖尿病発症リスクが低い傾向にあった。愛知職域コホート研究の成果で、名古屋大学の上村真由氏らが1月末に東京で開催された日本疫学会で報告した。

 演者らは、米国心臓協会(AHA)が2010年に、心血管疾患予防のために心血管健康度の目標値を制定したことに着目。目標値に盛り込まれた食事・栄養素摂取の状況と糖尿病発症との関連を調べ、心血管疾患予防に役立てることを目的に検討を行った。

 対象者は、愛知職域コホート研究のスタート時(2002年)に35〜66歳だった愛知県内の自治体職員6651人。このうち、登録時に空腹時血糖126mg/dL以上または血糖降下剤・インスリン使用中の人、高血圧と脂質異常症の薬物治療中の人らを除外した4258人について解析した。

 栄養調査は、簡易食事歴質問票にもとづいて実施した。糖尿病の把握は、毎年の健康診断時に空腹時血糖が126mg/dL以上の基準で判断した。また、治療開始の自己申告とカルテによる調査の裏づけによっても把握した。

 得られたデータの統計解析は、コックス比例ハザードモデルによって行った。その際、性別や年齢、エネルギー摂取、運動習慣の有無などの変数を用いて調整した。P値の評価は、「<0.05」を有意、「<0.1」を境界有意とした。

 食事・栄養素摂取と6年間の糖尿病発症との関連をみたところ、魚介類をAHAの目標値である「週に200g以上」摂っている人の場合、そうでない人に対する糖尿病発症ハザード比は、0.27(95%信頼区間:0.12-0.63)で、有意に低かった(P=0.002)。また、加糖清涼飲料水の摂取が週に1050mL以下の人の場合、1050mL超の人に対する糖尿病発症ハザード比は、0.69(95%信頼区間:0.46-1.06)で低い傾向にあった(P=0.090)。

 さらに、AHAの目標値を達成している食事・栄養素摂取の項目数と糖尿病発症との関連を調べたところ、達成した項目数が増えるに従い、糖尿病発症リスクが低下することも分かった。

 これらの結果から演者らは、「魚介類の高摂取と加糖清涼飲料水の低摂取は、6年間の糖尿病発症リスクの低下と関連がみられた」と結論した。今回の結果は、日々の食生活を見直すことの重要性を教えてくれるものだ。糖尿病予防という点でとても重要であり、一般市民への啓発に役立てていくべき成果と言える。

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