図1 多変量調整糖尿病発症ハザード比(日本疫学会での発表から)

 糖尿病予防には「ゆっくり食べること」が重要のようだ。日本人の中年男性を対象に、食べる速さ糖尿病発症との関連を調べたコホート研究で示された。金沢医科大学の櫻井勝氏らが1月末に東京で開催された日本疫学会で報告した。

 演者らは、35〜55歳の非糖尿病男性2050人を2003年から7年間にわたって追跡し、食べる速さと糖尿病発症との関連を検討した。

 自記式食事歴法質問票(DHQ)を用いて栄養調査を行う一方、被験者には食べる速さを5段階で自己評価してもらい、「かなり遅い・やや遅い」(Slow群239人)、「ふつう」(Medium群921人)、「やや速い・かなり速い」(Fast群890人)の3群に分けて追跡した。

 毎年の健診時に糖尿病の診断を行い、発症者を把握した。新規糖尿病発症は、空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c(NGSP値)6.5%以上、または糖尿病治療薬の開始と定義した。

 解析では、コックス比例ハザードモデルを用いて、Slow群を基準にした時のMedium群、Fast群の多変量調整糖尿病発症ハザード比を算出した。

 その結果、各群の新規糖尿病発症は、Slow群13人、Medium群80人、Fast群84人となった。糖尿病の発症率(1000人・年当たり)は、それぞれ9.9、15.6、17.3だった。

 多変量調整糖尿病発症ハザード比でみると、Slow群を1とした場合、Medium群が1.68(95%信頼区間:0.93-3.02)、Fast群が1.97(同:1.10-3.55)と、食べる速さが速い群ほど発症率が有意に高いことが明らかになった(Pトレンド=0.030、図1)。

 これらの結果から演者らは、「日本人中年男性において、食べる速さは新規糖尿病発症と関連していた」と結論。その上で、 食べる速さは「意識して修正することが可能な危険因子」であることから、「糖尿病予防においては、ゆっくり食べることが重要であることが示された」とまとめた。